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東京ステーションギャラリー。東京駅の中にある。正面1階が入り口。


東京ステーションギャラリーで開催されている企画展「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい」を先日みました。会期は2014年11月9日までです。

ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい >

日本万国博覧会が終了した翌月の1970年10月、日本国有鉄道は、大々的なキャンペーン「ディスカバー・ジャパン」を開始しました。「美しい日本と私」をテーマに人の心によびかけようとする手法、そしてわかい女性をターゲットにしたファッショナブルなデザインは、国鉄にとっても、またこの時代においても大きな転換をしめすものでした。

本展は、当時のポスター約100枚を中心に、多数の資料を通じてこのキャンペーンをふりかえっています。

もっとも印象的だったのは当時のテレビコマーシャルの再演です。YouTube(下の動画)でも視聴することができます。
 


ディスカバージャパ〜ン ディスカバージャパ〜ン
みーちある町に〜 みーちある村に〜
あなたはー見つける〜 たのしい旅を〜
ディスカバージャパ〜ン 
たびーにゆこぉ たびーにゆこぉ
たーのしー旅に〜
だーれかと だれかと とおくへ〜
ディスカバージャパ〜ン 
旅は あたらしい発見の連続
国鉄の5084ヵ所の駅が あなたのディスカバーの旅をお待ちしています


1970年代の日本、本当になつかしいです。高度経済成長のまっただなか、所得は2倍3倍とふくらみ、人々に余裕がでてきました。そこで「鉄道旅行をしてみよう」となったわけです。鉄道旅行は当時の人々にとっては もっともシンボリックな遊びになりました。

日本は、1960年代、70年代、80年代と、高度経済成長を基盤にして大繁栄したように見えます。

しかしその後おおきく失速してしまいました。今日では、お金から心へという価値観の転換をせまられています。この間の日本の変化は劇的なものでした。

1980年代、わたしも、時刻表を片手に日本国内の鉄道旅行をくりかえしました。

しかしそのご90年代に入り、海外旅行をするようになってからは、日本よりも外国の方がおもしろくなってしまい、旅行といえば海外旅行となりました。海外旅行の方が安くつき、誰でも手軽に海外に行けるようになりました。時代は変わりました。

今回の企画展は回顧展です。1970年代は本当になつかしく、当時のコマーシャルをくりかえし視聴してしまいました。当時にはもう絶対にもどることはできません。

わすれていたかのようにおもわれていた過去の鉄道旅行が鮮明によみがえってきました。情報は、おもいだしてこそ意味があります。

全国の鉄道路線図を想起の引き金として利用し、かつて旅行をした場所や時期をおもいだします。場所や時期がおもいだせたら、そこでみた風景や聞いた話など体験をおもいだします。鉄道旅行の全体を場所でとらえるようにし、体験を再確認して強化し、その後の人生でくわわった味わいをそれに加味し、情報をリメイクします。そしてもう一回地図を見て、それぞれの場所にその情報を格納しなおします

こうして、なつかしく記憶をおもいおこして、当時を再発見し、当時をとらえなおし、記憶をリメイクしました。


▼ 参考文献
栗田昌裕著『記憶力がいままでの10倍よくなる法』三笠書房、2002年5月
SRS記憶法には「想起法」(Recall method)と「研磨法」(Jewel method)という方法があります。参考にしてみてください。