140804b

図 仮説発想の野外科学と仮説検証の実験科学


川喜田二郎著『発想法』の第I章では「野外科学 -現場の科学-」についてのべています。

この野外科学とは、地理学・地質学・生態学・人類学などの野外(フィールド)を調査・研究する科学にとどまらず、仮説を発想する科学として方法論的に位置づけられています。仮説を発想することは発想法の本質です。

野外科学によりいったん仮説が発想されると、今度は、実験科学の過程によって仮説の検証をしていきます

つまり、野外科学は仮説を発想するまでの過程、実験科学はそのごの仮説を検証する過程であり、両者がセットになってバランスのよい総合的なとりくみになります(図)。

何かをしようとするとき、意識するしないかかわらず、既存の仮説を採用したり、固定観念にとらわれてしまっていることがよくあります。これは実験科学だけをやっているということになります。これですと、やっぱりそうだったかと確認はできても、あらたな発見が生まれにくいです。

そこで、野外科学の精神にしたがって仮説をみずから立ててみることをおすすめします。そのためにはつぎのようにします。

 1.課題を明確にする
 2.情報収集をし、似ている情報をあつめて整理する
 3.「・・・ではないだろうか」とかんがえる


仮説を生みだす野外科学は実験科学や行動の母体にもなります。 

自分がたてた仮説がただしいかどうかはあとで検証すればよいのです。仮説をたてると推論ができたり想像もふくらみます。仮説を検証する方法は、それぞれの専門分野でよく発達している場合が多いので、それを積極的につかってもよいです。


▼ 文献
川喜田二郎著『発想法』(中公新書)1967年6月26日