発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指輪』から序夜《ラインの黄金》(演奏会形式)をききました(注)。東京春祭(東京・春・音楽祭)において、音楽史上 空前絶後の超大作『ニーベルングの指輪』を、毎年1曲ずつ4年をかけて全曲 演奏するという大きな企画の初年度でした。

声楽と管弦楽の演奏のみの、舞台装置や演技なしの演奏会形式オペラ公演であったため、ストーリーをおいながらイメージを自由にえがくことができました。

《ラインの黄金》のあらすじはつぎのとおりです。

第1場ライン川の底。地底からやってきた みにくい小人アルベリヒは、ライン川の黄金をまもる3人の乙女たちから、ライン川の黄金をうばいとってにげさります。

第2場:黄金をうばいとったアルベリヒは、その黄金を指輪にして地底の支配者となり、さらに、神々のすまう天界までをうかがう勢いをみせます。天界にすまう神々の長ヴォータンは法によって世界を統治していましたが、みずからの支配がおびやかされることをおそれ、その黄金の指輪をうばいとるために地底の世界へとおりていきます。

第3場ニーベルング族のすまう地底アルベリヒは、指輪の魔力により、神々をたおし、世界を支配してやろうという野望をいだいています。

火の神ローゲ神々の長ヴォータンは、そのアルベリヒをたくみにだましてつかまえ、地底からひきずりだします。

第4場神々の長ヴォータンは天界への道をひきかえします。ヴォータンは、アルベリヒから指輪をねじりとります。

世界が暗闇に突然つつまれ、未来を知る大地の女神エルダが登場、「指輪を手放し、災いを未然にふせげ」とヴォータンにつげます。そこでヴォータンは、神々の城ヴァルハラを建設した巨人の兄弟に指輪をあたえます。

すると、巨人族の兄弟、ファーフナーファーゾルは指輪をめぐってあらそい、ファーフナーがファーゾルをなぐりころします。

神々は、虹の橋をわたってヴァルハラ城に入っていきます。

今回の演奏会形式とは、通常のオペラ公演とはことなり、舞台装置などの演劇上の演出をせず、舞台上にオーケストラがのり、その前でソリストが歌を歌うような形式の公演です。

通常のオペラの場合は、演出家がえがいたイメージがすでにあり、それをあたえられるわけですが、 演奏会形式では舞台装置と演技がない分、自由にイメージをえがくことができます。
 
演奏会形式は本当のオペラではないといわれればその通りですが、自分で自由にイメージをえがくという別の楽しみ方ができるわけです。このような、音楽をききながら連続的にイメージをえがくことは、とても効果的なイメージ訓練にもなります


注:
東京文化会館、2014年4月7日、(東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.5)
指揮:マレク・ヤノフスキ
ヴォータン:エギルス・シリンス
ドンナー:ボアズ・ダニエル
フロー:マリウス・ヴラド・ブドイウ
ローゲ:アーノルド・ベズイエン
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ミーメ:ヴォルフガング・アブリンガー=シュペルハッケ
ファーゾルト:フランク・ヴァン・ホーヴ
ファーフナー:シム・インスン
フリッカ:クラウディア・マーンケ
フライア:藤谷佳奈枝
エルダ:エリーザベト・クールマン
ヴォークリンデ:小川里美
ヴェルグンデ:秋本悠希
フロースヒルデ:金子美香
管弦楽:NHK交響楽団
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン


参考資料:

・『ニーベルングの指輪』のとてもすぐれた入門書です。


・こちらはコミック版です。絵がある分わかりやすいです。


・おすすめCD(ハイライト)です。名演をきかせてくれます。くりかえしきいてたのしめます。

楽天市場


本書では、取材法・取材学について解説しています。

取材法・取材学にとりくむにあたっても、取材活動の全体がひとつの情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)になっていることに気がつくことが重要です。ここに、取材法(フィールドワーク)を体系化する原理があります。

つまりつぎのとおりです。

 野外観察や聞き取り:インプット
 情報の選択・要約・編集など:プロセシング
 記録をつける:アウトプット

情報処理の観点から、取材法やフィールドワークをとらえなおすことには大きな意味があります。

本書の中心である、第2章「探検の方法」から「探検の五原則」と、第3章「野外観察とその記録法」から取材法の要点を書きだしておきます。

・探検の五原則
「探検の五原則」とは取材ネットの打ち方に関する原則である。テーマをめぐり、以下の原則にしたがってデータを集めよということである。
 
 (1)360度の視覚から
 (2)飛び石づたいに
 (3)ハプニングを逸せず
 (4)なんだか気にかかることを
 (5)定性的にとらえよ

・個体識別
 個々の現場に臨んだら、個体(もしくは個々のことがら)となるひとくぎりのものごとを発見する。これを「個体識別」とよぶ。ハッと思う個々のものごとにはなんでも注視の姿勢をとる。

・座標軸的知識
 個々のものごとのあいだにありそうな関係を枚挙してみる。その関係を観察したりたずねてみる。こうして「座標軸的知識」を構築する。

・点メモ
 観察した事柄について、点々と簡略化した記録をつけていく。これを「点メモ」とよぶ。この時点では完璧な記録をとる必要はまったくない。ハッと気づいたとき、すぐ「点メモ」するのが修業の根本である。

・ラクガキ
 簡単な絵にした方がわかりやすいときは絵をかいておく。これを「ラクガキ」とよぶ。

・その場の記録
「点メモ」と「ラクガキ」は野帳とかフィールドノートに記入する。これを「その場の記録」とよぶ。

・データカード(まとめの記録)
 永年保存ができ、しかも関係者で共有できるようにするために、今度は「データカード」に完全な文章としてデータを記入する。一単位のことがらにつき一枚の「データカード」にする。各カードに一行見出しをつける。

・データバンク
 データカードをファイルし「データバンク」をつくる。

情報処理の観点から上記を整理するとつぎのようになります。

 インプット:野外観察(個体識別など)。
 プロセシング:情報の選択、要約、座標軸的知識形成など。
 アウトプット:点メモ、ラクガキ、データカード、データバンク。

野外観察は、外部の情報を心のなかに入れることですからインプットに相当します。

インプットされた情報はその人の心の中で選択され、要約、編集されます。これはプロセシングです。

そして、「点メモ」などを書くことは、心の中にいったん入った情報をノートなどに書き出すことであり、これはアウトプットになります。

そもそも、何をメモするか、その時点で、情報を選択するという(あるいは情報を評価するという)、その人独自の情報処理がなされています。おなじものを見ても、メモをする事柄が人によってちがってくるのは、情報処理の仕方が人によってちがうからです。

本書で論じている取材法・取材学では、情報処理のプロセスの中で、観察・聞き取りなどインプットに重点がおかれています。一方、川喜田二郎が創案した「KJ法」はプロセシングに重点がおかれています。したがって、取材法(フィールドワーク)と「KJ法」は相互補完の関係にあります

また、情報処理の第3場面のアウトプットの典型は文章化であり、たとえば、本多勝一さんの「日本語の作文技術」などを練習すればアウトプットも強化され、情報処理の3場面がバランスよく実践できるようになります。

なお、「データカード」「データバンク」は、現代では、紙のファイルはつかわず、パソコンやブログをつかいます。たとえば、1件1記事の原則でブログ記事を書き、それぞれに見出しをつけて蓄積していけば、「データバンク」が自動的に形成され、検索も簡単にできるようになります。1記事がデータカードに相当します。ブログにはさまざまな機能が付属していて、情報活用のために大変便利です。あるいはフェイスブックやツイッターをつかうのもよいでしょう。


文献:川喜田二郎著『「知」の探検学』(講談社現代新書)講談社、1977年4月20日

 

楽天市場



関連ブログ:
イメージ化により情報を処理する 〜川喜田二郎著『KJ法』〜
わかりやすい日本語を書くために 〜レビュー:本多勝一著『日本語の作文技術』〜
読点を完璧につかいこなす - 前著の応用・実戦編 - 〜レビュー:本多勝一著『実戦・日本語の作文技術』〜 

仏像の見方・たのしみかたがよくわかる本です。

仏像に関する本は多数ありますが、この本はとても見やすく、わかりやすいです。1ページあるいは見開き2ページをつかって写真とともに簡潔に解説されています。わかりやすくつたえるためにはレイアウトも重要だということを再認識させてくれます。
 
第1章「やさしい仏像の見方」では、如来、菩薩、明王、天部、羅漢・高僧についてそれぞれ説明しています。

 
1)如来(にょらい)とは、真理の世界から来た者の意で、仏陀と同意です。釈迦如来、阿弥陀如来、弥勒如来、薬師如来、毘盧遮那如来、大日如来などです。

2)菩薩(ぼさつ)とは、自らの覚りを求めるとともに、人々の救済を願い、福徳をもたらす仏をさしています。弥勒菩薩、聖観音、十一面観音、不空羂索観音、千手観音、如意輪観音、馬頭観音、准胝観音、文殊菩薩、普賢菩薩、虚空蔵菩薩、地蔵菩薩、勢至菩薩、日光菩薩・月光菩薩などです。

3)明王(みょうおう)とは、如来の教えに従わないものたちを忿怒相(ふんぬそう)の恐ろしい姿で懲らしめ、教化しようとする、密教の仏たちの総称です。不動明王、愛染明王、五大明王、孔雀明王、大元帥明王などです。

4)天部(てんぶ)とは、バラモン教やヒンズー教の神々が仏教に取り入れられたものの総称で、仏やその教えを護り、人々に現世利益をもたらす役目があります。梵天、帝釈天、金剛力士、八部衆、二十八部衆、四天王、毘沙門天、十二神将、吉祥天、弁財天、鬼子母神などです。

5)羅漢・高僧(らかん・こうそう)は、釈尊の高弟や最高位の僧、宗派の開祖など、仏教の普及に深くかかわった人々です。十大弟子、十六羅漢、 無著・世親、達磨大師、聖徳太子、義淵、行基、鑑真、空海、最澄などです。


情報処理・問題解決の観点からは、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、普賢菩薩(ふげんぼさつ)、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)に注目するとよいでしょう。

文殊菩薩は「智を象徴する菩薩」です。それに対して普賢菩薩は「行(行動)の菩薩」です。虚空蔵菩薩は「記憶力をさずける菩薩」です。虚空(こくう)とは「何もさまたげるものがない空間」の意であり、記憶は、このような広大な空間をつかっておこないます。空間記憶法は大昔から実践されていたわけであり、注目しなければなりません。

本書をつかって、 インドから日本までいたる東洋の広大な精神世界を、仏像たちを通して具体的に認識することができます。精神的・抽象的なことがらを、仏像を見ることにより、視覚的にとらえなおすことができるのです。

また、本書全体を心の中にインプットすることにより、東洋の精神世界全体の仏像による見取り図(スケッチ、インデックス)が心の中に生じます。抽象的なことがらは記憶しにくいですが、仏像はとても記憶しやすくできています。活用していきたいものです。


文献:熊田由美子監修『仏像の辞典』成美同出版、2014年2月20日

速読する技術を解説した本です。速読ができるようになれば、「膨大な情報を、高速に取り組んで素早く理解し、的確に残して臨機応変に活用する」ことができるようになります。現代の高度情報化社会にあってはとくに重要な技術です。

速読は、従来の音読・黙読とはちがい、空間のなかで視覚で文章をとらえることによって可能になります。以下に本書の要点を書きだしてみます。

速読力で得た重要な情報を記憶し蓄積することは、知的情報処理の根幹を築き、記憶して想起すること自体が快感を生みだす。

従来の読書で使う場所「言語脳」は作業が遅く、加速が困難であり、記憶容量も少ない。

それに対して「視覚脳」は、加速が容易で、記憶容量も膨大で、知能全体の高まりを生み、さららに心身のさまざまな領域とつながって効果を生みだす。

あらゆる知的な情報処理には、「入力→処理→出力」という一連の働きがある。
 「入力」とは情報を入れること(=読むこと)。
 「処理」とは情報を内部で独自の仕方でとらえること(=理解すること)。
 「出力」とはとらえた結果に基づいて反応すること(=活用すること)である。

栗田式速読法は、その一連の知性の働きを、「分散入力→並列処理→統合出力」という新しい方式に進化させて、情報処理能力を加速するオリジナルな技術である。

速読では、大脳の中を情報が流れる情報の筋道を「空間的な経路」に変え、情報の流れを空間的に制御する。

読書の進化の4段階により、「音の読書」から「光の読書」へ進化を果たす。
 「かたつむり読書」
 「尺取り虫読書」
 「面の読書」
 「蝶の読書」
「蝶の読書」とは、頁の広がりを空間の出来事と見なして読む方式である。

速読をしたら、すぐに振り返って想起し、内容を書き出してみよう。このとき、書かれた内容が、どこに書いてあったかという位置(場所記憶)がともなうようにする。

中心視野だけをつかうのではなく、周辺視野を開発し、網膜の全域で対象をより精密に見る能力を高める(周辺視野の開発)。

対象のもつ大局的な情報と局所的な情報を同時に入力できる目をつくる。これは 大きな目と小さな目を同時に働かせることでもある(ホロニックな見方の開発)。

情報の階層性を理解し、ホロニックな目を獲得できると、人生観ががらりと変化する。

視覚の場を利用して、心の中を再構成していく。人間は視覚に関連するニューロン(神経細胞)が圧倒的に多い生物なので、見てわかるという能力は非常に強い。

以上のように、文章を音読・黙読するのではなく、文章を視覚的にとらえ、視覚に関連する領域を活性化させることが重要です。このことがわかると従来の音読・黙読をいくらはやくしても速読にはならないことがわかってきます。

このように視覚をきたえて、空間の中で対象をとらえ、心の中も空間化すれば、記憶力や想起力・想像力も強化され、並列的な情報処理ができるようになり、さまざまなアイデアも生まれやすくなるでしょう。


文献:栗田昌裕著『頭がよくなる速読術』中経出版、2010年10月23日
 
頭がよくなる速読術-...

頭がよくなる速読術-...
価格:1,019円(税込、送料込)

楽天Kobo電子書籍ストア
楽天ブックス 


【送料無料】 頭がよくなる速読術 / ...

【送料無料】 頭がよくなる速読術 / ...
価格:1,404円(税込、送料込)

楽天市場


関連ブログ:速読の近道は風景の見方にある 〜 栗田昌裕著『これは使える!【図解】栗田式速読トレーニング』〜

iCloud(アイクラウド)の機能を徹底的に解説した入門書です。iCloud をつかえば、iPhone や iPad を Mac や Windows と簡単に連携することができます。本書をよめば iCloud をすぐにつかいこなせるようになります。

iCloud をつかうと、写真や連絡先・メール・カレンダーなどの各種ファイル同期したり、iOS のバックアップが簡単にできます。Mac でも Windows でもつかえ、iPhone から iCloud の設定をおこなえばすぐに利用可能となります。

くわしくは本書をご覧いただければわかりますが、ここでは、「フォトストリーム」についてのみのべておきます。フォトストリームをつかうと ことなるデバイス間で撮影した写真を同期したり共有でき大変便利です。

いわゆる写真だけではなく、メモや書類を iPhone や iPad で撮影しておけば、自分は何もしなくても自動的にほかのデバイスでもすぐに利用できるようになります。Mac の iPhoto をつかっている方は写真やメモが自動的に保存され便利です。

「最速メモ」のようなメモアプリをつかえば、iPhone や iPad で書いた手書きメモが Mac に自動的に同期され活用できるになります。

iCloud にはほかにも役立つ機能が満載です。


文献:『iCloud徹底活用マニュアル』英和出版社、2013年12月25日
 
【送料無料】iCloud徹底...

【送料無料】iCloud徹底...
価格:1,080円(税込、送料込)

楽天ブックスで買う



定性的データを処理する方法である「KJ法」の原典です。今回は、その中核である第Ⅳ章「狭義のKJ法Ⅰランド」について解説します。

KJ法とは「データをして語らしめる」方法であり、具体的には、ブレーンストーミングやフィールドワークでえられた定性的データ(数量化できないデータ)を図解化して処理していく技術です。

これは、既存の仮説を確認したり、すでにできあがっている体系を学習したりするための方法ではなく、その逆の、あらたに仮説を発想したり、新規に体系を構築したりするための方法です。


以下に要点を整理します。
 
KJ法の手順は大局的にはつぎの通りです。

 《取材》→《KJ法1ランド

取材とは、フィールドワーク、記録類からの抜粋、討論、その他によりデータを取得することです。

KJ法1ラウンドの手順は以下の通りです。

 《ラベルづくり
   ↓
 《グループ編成》(ラベル拡げ→ラベル集め→表札づくり)
   ↓
 《図解化》(空間配置→図解化)
   ↓
 《叙述化》(文章化または口頭発表)

・ラベルづくり
 取材によって得られたデータをラベルに記入します。1枚1項目の原則にたって、1枚のラベルがひとつの「志」をもつように書きます。

・グループ編成
「ラベル拡げ」:データ化したラベルを自分の前に縦横にならべます。
「ラベル集め」:拡げられたラベルをすべて読み、「志」が似ていると感じられるラベルを集めてセットにします。セットにならない「一匹狼」がのこってもよいです。
「表札づくり」:セットになったラベルの内容を要約し、あたらしいラベルに「表札」として記入して、セットの上にのせクリップでとめます。

 グループ編成は、ラベルの束が数束以内、最大10束以内になるまでおこないます。

・図解化
「空間配置」:模造紙をひろげ、ラベルの束をすわりのよい位置に空間的に配置します。
「図解化」:
 模造紙にラベルを貼り付け、各グループごとに島どりをし、表札を転記、関係記号を記入します。
 各島に、「シンボルマーク」を記入します。「シンボルマーク」とはその島が情念的に訴えかける意味内容をズバリと表現したものです。
 図解の表題と註記を記入します。註記は、(1)とき、(2)ところ、(3)出所、(4)作製者、の順に記します。

・叙述化
 図解の内容をよく噛みしめて味わい、内容をストーリー化します。


以上をふまえ今回は、KJ法の上記の手順を、情報処理(インプットプロセシングアウトプット)の観点からあらためてとらえなおしてみます。

まず取材は、見たり聞いたりして情報を取り入れることでありインプットに相当します。

「KJ法1ラウンド」のうち、「ラベルづくり→グループ編成→図解化」は、定性的データをもとにしてイメージを形成していくプロセスであり、プロセシングに相当します。「ラベルづくり→グループ編成→図解化」の手順を「イメージ化」とよぶこともできます。

叙述化(文章化または口頭発表)は、メッセージを相手につたえることであり、外部にむかって情報をアウトプットすることです。叙述化は「言語化」とよぶこともできます。

したがって、情報処理の観点からKJ法をとらえなおすと以下のように整理できます。

 1.インプット:取材(観察・聞き取りなど)
 2.プロセシング:イメージ化
 3.アウトプット:言語化(叙述化)

取材については、 観察や聞き取りをあらたにおこなうことが基本ですが、過去に観察したこと、過去に聞き取ったこと、心のなかにすでにインプットされている情報を活用してもよいです。過去に見聞きしたことは記憶として心の中にすでに蓄積されています。そのためにはブレーンストーミングをおこない、過去の情報を想起します。通常は、まずブレーンストーミングをして記憶を想起し、そのつぎに取材にでかけて、あらたな観察や聞き取りをした方が効果的です。

KJ法で図解をつくっていくプロセスはイメージをつくっていくプロセスにほかならず、イメージをえがくことは情報処理の基本です。

KJ法によるイメージ化の特色の第1は、似ているデータをあつめるところにあります。ここでは類似性の原理をつかっていて、似ている情報はそもそも自然にあつまってくるのです。KJ法は類推の技術化といってもよいです。

第2の特色は、複数のラベルの内容を「表札」に統合・要約するときにおこなう圧縮表現です。この圧縮表現は、空間を利用した情報処理の次元を高め(情報処理の次元を2次元から3次元に上げ)、情報処理を加速しその効率を一気に高めます

第3の特色は、イメージ(図解)の中に言語がうめこまれていることです。このために、アウトプットの言語化がとても効率的にやりやすくなります。

このように、KJ法を、現代の情報処理の観点からとらえなおすことは重要なことであり、これにより全体の見通しがとてもよくなります。 


文献:川喜田二郎著『KJ法 -渾沌をして語らしめる-』中央公論社、1986年11月20日


文化発展に関する仮説を提唱している本です。川喜田二郎がしてきた仕事を時系列でたどりながら、仮説を形成していく過程をよみとることができます。

KJ法にとりくんだことがことがある方で、川喜田の半生の概要をてっとりばやく知りたい方にもおすすめできる本です。

川喜田は、パターンとして生きざまとして確立した文明としてつぎの7つの文明をあげています。
中国文明、ヒンドゥー文明、チベット文明、イスラーム文明、ビザンチン文明、ラテン文明、西欧文明があります。これら7つの文明は気候帯とほぼ一致します。また、独自の大宗教(高等宗教)と結びついているのが特色です。

こうして、まず、環境と人間と文明に関して大観し、地球の大局をつかんでいます。

これを踏まえて、つぎに、フィールドワークとアクションリサーチに入ります。具体的な地域としては、日本の東北地方(北上山地)とヒマラヤ山村を選択しています。ここで、KJ法をつかって情報収集とそのまとめをおこない、地域性について理解していきます。

そして最後に、文明と地域の両者を踏まえて、「文化発展の3段階2コース説」という仮説を提唱しています。これは、文化は、素朴から文明へと発展するものであり、「素朴→亜文明→文明」と「素朴→重層文化→文明」という2コースがあるとする説です。

詳細につきましては本書をご覧いただきたいとおもいますが、ここでは、仮説形成には3つのステップがあることを協調しておきたいとおもいます。

(1)グローバルにとらえる
(2)地域を研究する
(3)仮説を立てる

(1)では、地球を大観し大局をつかみます。これが、仮説形成のための前提になります。

(2)では、具体的な地域を個別に調査・研究し、データをあつめ、現場の事実をおさえます。

(3)前提と事実を踏まえ、仮説を発想します。

このように、前提→事実→仮説という3つのステップを踏んで仮説は形成されます。

ひとつのおなじ前提に立っていても事実がちがえば仮説もことなります。また、事実がおなじでも前提がことなれば仮説もことなってきます。たとえは、おなじ事実を目の前にしても、世界観(前提)がことなるために、仮説もことなるというのはよくあることです。

他人の仮説をみるときも、自分が仮説をたてるときも、前提と事実をしっかりおさえなければなりません。


文献:川喜田二郎著『環境と人間と文明と』古今書院、1999年6月3日
 
 【1000円以上送料無料】環境と人間...

 【1000円以上送料無料】環境と人間...
価格:3,456円(税込、送料込)

楽天市場で買う

潜在意識とその開発法について解説した本です。著者は以下のようにのべています。大変興味深いです。
潜在意識はいわば「自分の知らない自分」とも呼ぶべき存在である。人生のほとんんどはその潜在意識が動かしている私たちは知らない自分に操られている

潜在意識はフロイトが発見するよりもはるかに前に、古代からさまざまな分野で追求されてきた。ヨーガ、瞑想、それ以外の宗教的な行、武道などの身体鍛錬、気功など。

潜在意識の開発には3段階がある。第1は自覚、第2は制御、第3は発展である。

精神活動の全体を「会社」にたとえると、表面意識は「社長」に、潜在意識は「従業員」にたとえられる。( 会社モデル/35ページ)

精神活動のモデルとして「海」を用いると、陸地や島にあたるところは表面意識、海中の領域は潜在意識にたとえることができる。(海のモデル/39ページ)

精神活動を「森」にたとえると、潜在意識は森の内部に対応し、表面意識は森の周囲、文明化された領域に対応させることができる。(森のモデル/39ページ)

精神活動の全体が、生態系のなす仕組み(エコロジカルシステム)と類似の仕組みをもっている。環境保護の問題意識や方法論が能力開発の技術と直結する。

潜在意識の特性として、「心の場を広げる力」がある。これは、情報処理のキャパシティを広げて、大量の情報が処理できるようにすることである。それに対して、表面意識の特性は、発想を確認し、定着させ、具体的な形として実現させることである。

首や肩は潜在意識の掲示板であり、首こりや肩こりを自覚することは、潜在意識のひずみを自覚することである。首こりほぐしや肩こりほぐしは潜在意識のバランスを正す技術である。

速読法の秘訣は、中心視野からではなく周辺視野から情報を入れることである。周辺視野から入れた情報は潜在意識にダイレクトに入り処理される

旅行は潜在意識を活性化する。旅は潜在意識の大掃除である。潜在意識を変える一番確かな状況は、異空間に3日以上いることである。風景の背景に注目し、周辺視野の機能を高め、潜在意識にインパクトをあたえる。よい状態を維持するために、感動を振り返り、感受性を維持し、知的高揚を保つ。


著者は、速読法を入口とするSRS能力開発法(SRS=スーパー・リーディング・システム)をおしえています。わたしもこの訓練を長年つづけています。

SRS能力開発法のそれぞれの分野(速読法・記憶法・心象法・活夢法・健康法など)についての著書が多数出版されていて潜在意識についても解説されていますが、潜在意識に特化した著作は本書のみであり、本書を読むと潜在意識を基礎とした能力開発の全体像がつかみやすくなります。

栗田博士の速読法・記憶法・心象法・活夢法・健康法などの著作とあわせて本書を読むとわかりやすいでしょう。

潜在意識に興味のある方はもちろん、SRSの講習を受講したことがある方にとって必読の書だとおもいます。SRSの講習を受講された方には復習になるととともに、各分野の講習を総合的体系的にとらえなおすことができ、見通しが一気によくなるとおもいます。


文献:栗田昌裕著『潜在意識開発法』KKロングセラーズ、1999年3月5日

非常にわかりやすいニュース解説者として知られている、ジャーナリストの池上彰さんがまなぶたのしさについてかたっています。わかりやすさとは何か、わかりやすくつたえるためにはどうすればよいか、池上さんからまなぶことはたくさんあります。

本書は、NHKを辞めて大学でおしえることになった経緯を中軸にして話をすすめています。

わたしがまず印象にのこったのは「絵を描けるように話す」ということです。池上さんはのべています。
ビジュアルと言葉の両輪で説明しようと努めてきました。

また、紙の新聞の「ノイズ」で教養をふかめることものべています。「ノイズ」とは、自分の関心以外のニュースや情報のことです。
紙の新聞なら、自分の関心以外の記事も自然に目に入ってきます。目に入った隣の記事までつい読んでしまうことで、知識や関心が広がっていきます。

これは、大きな視野、大きな空間で情報をとらえるということであり、自分がもとめている情報だけではなく、その周辺や背景にある情報も同時に取得するといことです。これは、情報を取得(インプット)するときに重要なことです。中心視野だけではなく周辺視野もフルにつかって、その空間にある情報すべてをまるごとインプットしてしまうのがよいです。そして、本来目的としていた情報も、その周辺や背後の空間の中に位置づけてとらえ、記憶していけばよいのです。

また、池上さんは「リアル書店の棚で勉強できる」ことものべています。
何かについて勉強したい、知りたいとおもったら、まずはターミナルにある大規模書店に足を運び、そのテーマについてどんな本があるのかを見に行きます。そこでイメージをつかんで、自分にあった本を選べば良いのです。

以上のように本書のキーワードは空間とイメージです。新聞の紙面もリアル書店も空間です。そして「イメージを描く」となるわけです。このように、あるテーマについて何かをまなぶとき、空間を活用してイメージをえがくことが重要です。心の中に情報をインプットしたり、イメージをえがいたりする空間は大きければ大きいほど情報処理は加速され、その効率があがります。パソコンやタブレットの二次元のせまい画面(平面)や、ネットでえられた断片的な情報だけでは情報処理の効率はあがりません。

「アナログ人間のオヤジ」と自称する池上さんのアドバイスを参考にしたいものです。


文献: 池上彰著『学び続ける力』(講談社現代新書)講談社、2013年1月20日
 

問題解決にとりくむとき、ひとつの課題が決まったら、それに関して情報を収集し、認識をふかめなければなりません。そのときつぎの3段階を踏むと効果的です。

第1段階:大局( 全体)をみる
第2段階:局所( 部分)をほりさげる
第3段階:イメージをふくらませる


たとえばわたしは、地学の調査・研究を長年やっていて、そのときの基本的なやり方はつぎのとおりでした。

(1)平面的に、できるだけひろく地表を調査します。
(2)ここぞという地点を選択して、ボーリング調査をし、垂直方向のデータをあつめます。
(3)(1)と(2)のデータをくみあわせて、全体構造のイメージをふくらませます。

(1)では、幅広く全体的に調査し平面的なデータをあつめます

それに対して(2)では、狭く深く調査して垂直的なデータをあつめます。地学ではボーリングという手法が有効ですが、どこでボーリングをするか、その地点の選択が非常に重要です。あちこちでやみくもにボーリングをすることは物理的にも予算的にも不可能ですし意味もありません。ここぞという地点をいかにうまく選択するか、課題を追求するうえでの急所ともいうべき地点を選択するのが理想です。

(3)では、(1)と(2)の情報をくみあわせて、見えないところは想像してみます。立体空間のなかで構造をイメージしてみると、その地域をおおきな場として、空間的構造的に一気にとらえられるようになります。さらに、その場の歴史や原理までもわかってくることがあります。


また、たとえば、地球について理解をふかめようとおもったら、

(1)地球儀、Google Earth、インターネット、概説書などで地球の全体状況を見て、地球の大局をつかみます

(2)ここぞという地点を選択し、実際にそこに行ってみてしらべてみます

(3)(1)と(2)の情報をくみあわせて、地球に関するイメージをふくらませます

(2)において、ここぞという地点としてどこを選択するか、どこへ行くか、おなじ地球上にすんでいても、課題によって人によって大きくことなってきます。わたしの場合はヒマラヤを選択しました。この例では、(2)の行為は、旅行とかフィールドワークとよばれます。


以上のように、「大局局所想像」という三段階は、課題を追求し認識をふかめるためにとても有効です。とくに第2段階における局所の選択について意識してみるとよいでしょう。

本書は、「移動大学」という特殊な挑戦を通して、フィールドワークやチームワーク、さらに文明の改善についてのべています。

「移動大学」とは、テントでのキャンプ生活をしながら、フィールドワークと「KJ法」にとりくむ2週間のセッションです。わたしは2回参加しました。

「移動大学」の特色は、そのユニークなキャンパス編成にあります。

まず、6人があつまって1チームをつくります。つぎに、チームが6つあつまって1ユニットをつくります。1ユニットは36人になります。そして、ユニットが3つあつまって全キャンパスになり、その定員は108人になります。

このようにして、個人レベル小集団レベルシステムレベルという3つのレベルがキャンパス編成のなかにおりこまれています。

「移動大学」はどのような経緯ではじまったのでしょうか。要点はつぎのとおりです。

1968~69年、大学紛争が全国的に荒れ狂った。この問題にとりくんだ結果、これは大学問題というよりももっと根のふかい文明の体質の問題であることがわかり、それを根本的に解決しなければならないということになる。その問題とは、環境公害・精神公害・組織公害の3公害である。

文明の体質改善という問題に最も役立つような事業は何かという問いから「移動大学」という構想がうまれた。「移動大学」は、文明への根本的反省からスタートしたのである。そのキャッチフレーズは「参画社会を創れ」である。

2週間のセッションでは、フィールドワークと「KJ法」にとりくみます。「KJ法」とは、移動大学創始者の川喜田二郎が考案した総合的な問題解決手法です。

問題の現場に実際に行ってみることは重要なことである。フィールドワークは「探検の5原則」に基づいておこなう。

1)テーマをめぐって360度の角度から取材せよ
2)飛び石伝いに取材せよ
3)ハプニングを逸するな
4)なんだか気にかかることを
5)定性的に取材せよ

「探検の5原則」に基づき、「点メモ」→「花火日報」→「データカード」→「データバンク」といった技術をつかって、フィールドワークからデータの共同利用、チームワークを実践し、あつまったデータは「KJ法」でくみたて、問題解決に取り組む。

「移動大学」の実践から、川喜田はつぎのことを協調しています。

「移動大学」は、問題解決にとりくむひとつの広場であり、この広場の中で、いきいきとした人間らしさ、春暖のもえる姿をまのあたりにした。

現代社会では、「個人レベル」と「システムレベル」はあるのだが、生身の個性的な人間がヤリトリする「小集団レベル」が消滅している。今日、「小集団レベル」が生かされる広場が求められている。「移動大学」のように、ハードウェア・ソフトウェア・研修が三位一体的に活用されたとき、広場は立派に広場の用をなす。

こうして、仕組みさえきちんとつくれば、ひとつの「小集団」が一体になって問題を解決し、創造性を生みだすことは可能であるとかんがえているわけです。「小集団」がつくりだず場が「ひろば」です。

ここでは、その「ひろば」自体が、ひとつの場として、まるでひとつの生命であるかのように活動し、創造性を発揮し、創造をしていくのです。これは、創造という目的のために、創造のためのひろばをまずはつくってみようということではありません。その場それ自体に創造性が生じるのです。

本書の書名が「創造のひろば」ではなく、「ひろばの創造」となっている点に注目しなければなりません。


文献:川喜田二郎著『ひろばの創造 -移動大学の実験-』(中公新書)中央公論社、1977年5月25日
 

楽天市場で買う

国立科学博物館の企画展「ダーウィンフィンチ -ガラパゴス諸島で進化を続ける鳥-」をみました。

ダーウィンフィンチは、南米沖のガラパゴス諸島とその北方ココ島にのみに生息する小型の鳥類であり、そのクチバシのちがいが進化をしめす具体例として知られています。本展では、アメリカ自然史博物館からかりうけたダーウィンフィンチの貴重な研究用剥製を展示してそれを解説しています。チャールズ=ダーウィンはこの鳥から進化論の着想を得たといわれています。

ダーウィンフィンチ類は、ホオジロ類の仲間であるフウキンチョウ科の鳥が200〜300万年前にガラパゴス諸島にたどりつき、昆虫食・花蜜食・種子食・雑食の食性に適応して、クチバシの形状が大きく異なる15種もの多様な種に分化しました。

国立科学博物館の解説によりますと、15種のダーウィンフィンチは以下の7つのグループ(亜種)にわかれます。

1)サボテンフィンチ類:長いクチバシ
 サボテンの実や葉・花・花蜜をたべます。

2)種子食地上フィンチ類:がっしりとしたクチバシ
 花・花蜜や地面に落ちた種子をひろってたべます。

3)昆虫食樹上フィンチ類:太いクチバシ
 主に昆虫をたべます。

4)キツツキフィンチ類:頑丈でまっすぐなキツツキ型のクチバシ
 樹木に穴をあけカミキリムシの幼虫や樹皮の下にかくれた昆虫などをたべます。

5)ココスフィンチ:細長いクチバシ
 雑食で、フルーツや花蜜・昆虫・草の種子などをたべます。

6)植物食樹上フィンチ:オウムをおもわせるクチバシ
 葉や芽や木の実などをたべます。

7)ムシクイフィンチ:もっとも細いクチバシ
 木の葉などについた昆虫などをつまみとってたべます。

以上のようにダーウィンフィンチは、餌という環境条件に適応するために、特徴的なクチバシの形を進化させました。この例は、ただ一つの祖先種から多様な形質の子孫が短期間に出現するという適応放散の代表例です。

このような現場のデータにもとづく具体例をまなぶことは物事の理解を促進させます。具体例を知れば知るほど物事の理解はふかまります。具体例は、一般論では気がつくことができない盲点をおしえてくれこともあります。具体例を知ることにより安易な一般論から脱出することもできます。具体例をファイルしてたくさん蓄積するることにより理解がふかまるだけでなく選択肢も増えてきます。

企画展や展覧会などでの体験をうまく活用して、具体例の体験的なファイルを増やしていくことが重要です。


参考文献
日本ガラパゴスの会著『ガラパゴスのふしぎ』ソフトバンク クリエイティブ、2010年3月25日
【送料無料】ガラパゴスのふしぎ [ 日...

【送料無料】ガラパゴスのふしぎ [ 日...
価格:1,028円(税込、送料込)

楽天ブックスで買う

本書は、ダーウィン・進化論・生態系・不思議な生き物・環境保全などについて多数の写真とともに解説していて、ガラパゴスの入門書・ガイドブックとして有用です。21ページおよび124〜128ページに、ダーウィンフィンチのクチバシについて解説されています。ただし、本書におけるダーウィンフィンチの分類は、国立科学博物館の分類とは若干ことなっています。


ジョナサン・ワイナー著『フィンチの嘴 ガラパゴスで起きている種の変貌』(ハナカワ・ノンフィクション文庫)早川書房、2001年11月30日
【送料無料】フィンチの嘴 [ ジョナ...

【送料無料】フィンチの嘴 [ ジョナ...
価格:1,015円(税込、送料込)

楽天ブックスで買う

ダーウィンフィンチのクチバシについてさらにくわしく知りたい方はこちらをお読みください。エルニーニョや大干ばつなどによって変化する種子の大きさに合わせて、フィンチのクチバシの大きさも変化することなどが記述されています。

 

創造性の本質について論じた本です。著者は、創造について、保守との対比、問題解決(ひと仕事)、伝統体(小集団や組織)、実践、世界内的な姿勢、文明の原理などの観点から総合的に解説しています。(本書は、川喜田二郎著『創造と伝統』(1993年)のなかから「I 創造性のサイエンス」を新書化したものです)。



1)創造と保守とが循環する
創造は保守と対比できる概念です。保守とは現状を維持するということですが、それに対して創造とは現状を打破し、新しい状態に変えていくことです。

これら両者は相互補完的に循環する関係にあります。創造はかならずどこかで保守に結びつき循環するものであり、保守に循環しなければ創造とはいえません。また、現状打破とは破壊のことではありません。現状打破は循環に結びつきますが、破壊には循環がありません。保守とも創造とも結びつかない方向に向かったのが破壊です。

循環には半径があり、大きな創造は大きな半径をもち、長い時間をかけて保守にむすびつき、社会の大きな循環を生みだします。

2)創造性とは問題解決能力のことである
創造性とは、ひと仕事をやってのける能力のことです。いいかえれば問題解決の能力のことです。ここでは総合という能力が要求されます。たとえば、現代の大問題である環境問題とか世界平和にとりくむためには総合的な問題解決能力が必須です。つまり創造性が必要です。

3)実践により矛盾を解消する
創造的行為の三カ条は、「自発性」「モデルのなさ」「切実性」です。これらはたがいに矛盾するようですが、実践によってこれらの矛盾対立は解消されます。実践のない抽象論では解消できず、実践を離れての創造はありえません。実践的行為のなかで矛盾を解消するのが創造です。

4)世界内的に生きる
自分を世界の外において、外から世界をみて論評しているだけで何も行動しないというのではなく、世界の渾沌の中に自分おいて、問題解決の行為を実践するのが創造です。

5)創造性は個人をこえる
創造的行為にあたっては個人と組織との間には壁はありません。創造性は個人をこえます。個人が創造性を発揮するだけでなく、集団が集団として創造性を発揮した例は数多くあります。創造的なグループは存在するのです。

そのようなグループは創造的な伝統を形成することができ、そのような伝統のあるグループは「伝統体」とよぶことができます。

6)渾沌→矛盾葛藤→本然
わたしたちは経験したことのない難問にぶつかることがあります。そのとき最初に来るのは渾沌です。

そして矛盾葛藤が生じます。

しかし、その矛盾葛藤を克服し、問題を解決しなければなりません。その過程が創造です。問題を解決した状態を「本然」(ほんねん)といいます。渾沌から、矛盾葛藤を克服し、本然にいたるのが創造です。


以上のように、渾沌を出発点として、総合的な問題解決の実践により矛盾葛藤を克服して、本然(ほんねん)にいたることが創造であるわけです。そして創造は保守とむすびついて社会に循環をもたらします。

わたしたちは、断片的な作業ではなく、ひと仕事をやってのけなければなりません。また、研究室や書斎・オフィスにいるだけでは創造はできず、フィールドワークやアクションリサーチの具体的な実践が必要になってきます。

さらに注目すべきは、著者は、デカルトの物心二元論のアトミズムを否定しています。デカルトにはじまる機械文明・物質文明のゆきづまりを明確に指摘、創造の原理によるあららしい「没我の文明」を提唱しているのです。 本書は、デカルト路線を体系的に否定した最初の本です。

本書の初版、川喜田二郎著『創造と伝統』(祥伝社、1993年)が出版されたとき、哲学者の梅原猛さんは書評のなかでつぎのように記述しています。
「川喜田さんに先を越された感じがする」

その後、梅原さんもデカルト路線を明確に否定したあらたな文明論を展開することになります。

3・11をへて、川喜田・梅原らが提唱するように、文明の原理を根本的に転換する必要があると感じる日本人は増えてきているのではないでしょうか。


▼ 文献
川喜田二郎著『創造性とは何か』(祥伝社新書)祥伝社、2010年9月

【送料無料】創造性とは何か [...

【送料無料】創造性とは何か [...
価格:821円(税込、送料込)

 

最新バージョンである HTML5 とスタイルシート(CSS3)をつかって、最新のウェブサイト制作手法をマスターするための入門書です。

HTMLとスタイルシートを習得すれば、ウェブサイト制作に特別なソフトは必要ありません。Mac や Windows に付属のソフトですぐにつくりはじめることができます。

これからウェブサイトを制作される方は、最新バージョン(HTML5)でつくのがよいです。

しかし、最新バージョンをつかった良書は現時点では非常にすくなく、最新のHTML5 を銘打っている書籍であっても、文書型宣言が <!DOCTYPE html> になっているだけで、HTML5タグをつかっておらず、<div>要素をつかうなどして、ふるいバージョン(従来のつくりかた)で解説している本がほとんどです。

その点、本書は、最新バージョンをつかっていて、しかも、初心者にもわかるようにわかりやすく解説されているので、わたしも安心して学習をすすめることができました。

本書の例題と解説をよんで、ステップ・バイ・ステップでウェブサイトを実際につくっていけば、最新のノウハウを身につけることができます。応用テクニックやその仕組み、さらに踏み込んだ各種の情報や秘訣も理解することができます。

HTML5 と CSS3 をつかってウェブサイトをつくってみようという方に、現時点でもっともおすすめできる入門書です。

文献:エビスコム著『HTML5 & CSS3 レッスンブック』ソシム、2013年5月24日
 

楽天ブックスで買う

発想法とは、アイデアを生みだしていく方法のことです。本ブログでは、旅行やフィールドワークを通して、さまざまに発想していく方法、あるいはそのためのヒントをとりあつかっています。野外科学とKJ法を基礎にしていて、現場でえられた情報を処理し、アイデアを発想し、問題を解決することをめざしています。

情報処理とは、〔インプット→プロセシング→アウトプット〕の3場面からなります。本ブログでは、人を、情報処理をする存在としてとらえ、人がおこなう情報処理をとりあげています。情報処理により、よくできたアウトプットをだすことをめざしています。


問題解決
とは、情報処理を累積しながら、課題にとりくみ問題を解決していくことです。本ブログでとりあげている方法はつぎの7つのステップからなります。

  1. 課題設定
  2. 情報収集
  3. 状況判断
  4. 現地調査
  5. 目標設定
  6. 計画実施
  7. 検証評価
上記の問題解決の7ステップの各ステップの内部において、情報処理をくりかえします。この過程でアイデアが発想できれば、問題解決は大きく前進します。

本ブログであつかっている発想法は、情報処理と問題解決の方法の全体を包括していますが、一方で、情報処理と問題解決をむすびつける役割も果たしています。 

↑このページのトップヘ