発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

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オーストラリアのシドニーからメルボルンそしてエアーズロックまで、観光名所をめぐりながら日常英会話を紹介していくDVDです。シリーズ「トラベラーズイングリッシュ」の第4弾「オーストラリア編」です。

DVDをつかって外国語をおぼえるためには次の方法をつかうと効果的です。

 1. DVDを普通に視聴します。
 2. 画面を消して、音声だけを聞いて、映像を想起します。
 3. 音声を消して、映像だけを見て、音声を想起します。

1.DVDを視聴
まず、DVDを普通に視聴します。映像と音声を、心のなかにしっかりインプットすることを意識します。

2.映像を想起
次に、画面を消して、目をとじて音声だけを聞きながら今みた映像を想起します。どこまで正確におもいだしてイメージをえがくことができるでしょうか。やってみてください。

3.音声を想起
今度は逆に、音声を消して、映像だけを見て、音声を想起します。どこまでおもいだせるでしょうか。英会話だけではなく、風の音や物音、料理の音など周囲の音もおもいだすようにします。

第2段階をへてこの第3段階であらためて映像を見なおすと、おもっていた以上にあざやかに鮮明に映像が見えてきます。新鮮な感覚体験がえられ、これだけでも意味があります。

上記の方法のポイントは想起の訓練にあります

くりかえし普通にDVDを視聴して、おぼえよう、おぼえようとするよりも、想起をする練習をした方が記憶は定着します。想起できるようになるということは、情報が記銘でき心のなかで保持されるということです。

情報処理の観点からいうと、想起は、そのままアウトプットにつながってきます。おぼえようとしてウンウンとうなっているだけだと、インプットばかりやっていて、プロセシングとアウトプットの訓練をおこなっていないことになります。記憶は、心の中にインプットされた情報を想起し、アウトプットをだすためにすることです。

上記の方法をつかって、イメージを見て言語をおもいだし、言語を聞いてイメージをおもいだす訓練をしていると、イメージと言語とはむすびつき、両者を統合して活用できるようになってきます

そもそもイメージは、言語情報をふくめたくさんの情報をたくわえることができます。

このDVDは、英会話をおぼえることを目的にしていますが、このような教材を参考にして、どの分野でも、DVDをつかえば記憶と想起の訓練が比較的短時間でたのしく手軽にできることを知るべきでしょう。

興味ぶかいDVDを視聴したら、すぐに想起する練習をするとよいです。DVDなどの視聴覚機器が発達したお陰で、記憶や学習はずいぶんたのしく手軽にできるようになりました。


DVD:「トラベラーズ・イングリッシュ 4 オーストラリア編 」( 英語で旅する)(TRAVELERS ENGLISH 4 Australia)

今回は、川喜田二郎著『発想法』の第 III 章「発想をうながすKJ法」から、第3場面「KJ法AB型による文章化」「 叙述と解釈をハッキリ区別せよ 」「 ヒントの干渉作用 」(94-111ページ)について解説します。

まず、要点をピックアップします。

KJ法AB型による文章化
図解から文章化に移るには、書き初めは、熟慮した図解上の位置から始めるのがよい。

叙述と解釈をハッキリ区別せよ
文章化するときの根本的な注意は、「叙述と解釈とを区別すること」である。

ヒントの干渉作用
些細なヒントをバカにしてはいけない。むしろそれを、支えになったデータとともに、しっかり定着させなければならない。

今回とりあげる「発想をうながすKJ法」の第3場面は、第2場面でつくった図解の内容を文章化する場面です。

この過程を、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からとらえなおすと次のようになります。

 インプット:図解を見る
 プロセシング:文章化の構想をねる
 アウトプット:文章を書く

ここでも、おこなっていることは情報処理であり、情報処理をつよく意識することが大切です。

次に、これらについて詳説します。

1. インプット:図解を見る
  • 文章化のために、つくった図解を見なおして味わいます。

2. プロセッシング:文章化の構想をねる
  • 書きはじめる箇所()をきめます。
  • ひとつのは、ひとつの節あるいは段落になります。
  • 2番目、3番目と、書いていく順序をきめます。

3. アウトプット:文章を書く
  • 要旨を書く場合は、大チームの表札すべてがうまくつながるように文章化すればそれが要旨になります。
  • 細部まで文章化する場合は以下のようにします。
  • 最初のの内容を文章として書きあらわします。
  • 大チームの表札が、その節あるいは段落の結論になります。
  • ひとつのについて書きおわったら、隣接するちかくのへうつります。
  • そのについても書きおわったら、隣接する次のへと順々に書いていきます。
  • たとえ話や実例を挿入してもかまいません。人々は、たとえによってコミュニケーションをしています。表現は、類似なパターンであらわすと効果的です。
  • 文章化は、図解のもっている弱点を修正する力をもっていて、図解化と文章化はたがいに他方を補強する役割をはたします。
  • 図解のときはわかったようにおもえていたことが、文章化すると話がうまくつながらないことがありますが、このようにこまったときこそあたらしいアイデアが飛び出すときです。アイデアはメモしておきます。
  • 叙述(事実)と解釈(仮説)とを区別して書きます
  • その解釈の根拠が、データに正直に根差した発想であることが重要です。
  • 文章化のためにひろいだされたデータ群をよくを見ていると、「データがかたりかけてくる」ことに気がつきます。
  • アイディアを促すような基本的な1小チームのデータ群のことを「基本的発想データ群」とよびます。
  • 些細なヒントをバカにせず、その支えになったデータとともにしっかり定着させます。
  • 図解から文章化へとただしく移行していくと、干渉作用の累積効果によって、出るべき仮説があたかも自然に成長するかのように生まれ出ることになります。これが文章化のもつ力です。
  • 小データ群に対しては、鮮明な分析を加えます。
  • 発想法の過程は全体としては総合化の方法ではありますが、その中で分析過程を拒否しているのではなく、「どの方向に分析を進めるべきか」に暗示をあたえるのが発想法です。

文献:川喜田二郎著『発想法』(中公新書)中央公論社、1967年6月26日
 
▼関連ブログ
ラベルづくり(取材→情報選択→記録)の方法 - 「発想をうながすKJ法」の解説(その1)-
グループ編成→図解化(イメージ化)の方法 -「発想をうながすKJ法」の解説(その2)-

グーグルが無料で提供するサービスのひとつ“Google Earth”画像を通して、自然を見る目、地球を見る目をやしなうための事例集です。

書名は『地球の歴史』となっていますが、地学の専門書でななく、一般向けのわかりやすい本です。Google Earth でとらえたそれぞれの画像に対してていねいな説明文がついていて、Google Earth 画像を見ながら理解をふかめられます。内容は次のとおりです。

1 自然をみる
2 災害をみる
3 地球史をみる

ドイツの町・ネルトリンゲンのクレーターやエジプト王家の谷も掲載されていて興味深いです。

このような「鳥瞰映像」を手に入れるためには、以前は、高い山に行くとか飛行機から見たりすることにかぎられていましたが、Google Earth が開発されたことによって「鳥瞰映像」が簡単に手に入るようになりました。 Google Earth をつかえば上空から擬似的に地球をながめられ、空中散歩が自由にできます

たとえば、書物を読んだり見たりしたとき、その場所を、Google Earth をつかって鳥瞰的にも確認すれば、理解がふかまるだけでなく記憶も鮮明に綿密になります。アイデアもでやすくなるでしょう。

かつて旅行などをして実体験をした場所についても、Google Earth によってより大きな視点から見なおし、とらえなおすことにより、体験をさらにふかめる効果が生じます。鳥瞰映像と実体験とをくみあわせることにより、中身のある全体像を構築することができるのです。

このようにして、Google Earth をくりかえしながめて、全体像を心のなかにいれていく作業をつづけていけば、やがて、地球全体が心のなかに入ってきます。

本書の事例を参考にして、Google Earth を折にふれてつかいこんでいくのがよいでしょう。


文献: 後藤 和久著『Google Earth でみる地球の歴史』(岩波科学ライブラリー149)岩波書店、2008年10月7日

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今回は、『発想法』(中公新書)第 III 章「発想をうながすKJ法」から、第2場面:「グループ編成」と「KJ法A型図解法」(73-94ページ)をとりあげて解説します。

本書から要点をピックアップします。
 
1.. グループ編成
1-1. 紙片を読む
 紙片をすべて拡げ、読む。
1-2. 紙片を集める
 親近感を覚える紙片を一カ所に集め、小チームをつくる。
1-3. 表札をつける
 あたらしい紙片に、各小チームの内容を圧縮して表現、記入し、それを小チームの上にのせる。
1-4. チーム編成を繰り返す
 小チーム編成から中チーム、大チーム編成へとチーム編成を繰り返す。どのチームにも入らない「離れザル」を無理にどれかのグループにくっつけない。
 
2. KJ法A型図解法
2-1. 紙きれの束を拡げて、納得がゆくように配置する。
2-2. 大チームから小チームに展開し、図解化する。

上記の「グループ編成」を情報処理の観点からとらえなおすと次のようになります。なお、紙片や付箋などを総称して「ラベル」とよぶことにします。

「紙片(ラベル)を読む」ことは、情報を心のなかにインプットする作業です。「紙片(ラベル)を集める」はプロセシングに相当します。「表札をつける」は、情報を圧縮して表現することでありアウトプットです。そして「チーム編成を繰り返す」は、これらの情報処理をくりかえしておこなうことです。


1. グループ編成 
*ラベルをよむ
  • 「探検(取材)→情報選択→記録」によってえられた約50枚のラベルを、たがいにかさならないようにゆとりをもたせて目の前に四角くならべます。
  • それらのラベルをあわてないで端から読んでいきます。読むというよりもながめていけばよいです。
  • 3回ぐらいくりかえしてながめます。
  • 目の前の情報をしっかり心のなかにインプットします。

*ラベルをあつめる
  • 「このラベルとあのラベルの内容は非常に近いな」と、内容のうえでおたがいに親近感をおぼえるラベルが目にとまったら、それらをどちらかの一カ所にあつめます。
  • あつめる枚数は2〜3枚を目安とし、多くても5枚とします。
  • このようにしていくと、ラベルの小チームがあちこちにできてきます。
  • 一方で、どのチームにも入らない「離れザル」が若干でてきます。その「離れザル」をどれかのチームに無理にくっつけてはいけません
  • 最初の段階では「離れザル」は全体の1/3ぐらいあってもかまいません。

*表札をつける(圧縮表現)
 
  •  たとえば5枚あつまったら、 あつまったラベルをよく読み、「この5枚の内容を、一行見出しに圧縮して表現するとすれば、どういうことになるか」と自分に問うてみます。
  • 5枚の内容をつつみつつ圧縮化して表現できる一文を、あたらしいラベル1枚に書いて、その5枚一組のチームのラベルの上にのせます。
  • 一組のチームは1個のクリップでとめます。
  • 一番うえのラベルは一組のラベルの「表札」とよばれます。チームの一番うえの表の札(ラベル)ということです。
  • 小チームのすべてに「表札」をつけます。
  • 本書『発想法』には「一行見出し」と記載されていますが、これは一文につづるという意味であり、ラベルのなかで厳密に1行にしなければならないということではありません。通常は2〜3行になります。重要なことは述語までしっかり記述し一文につづるということです。
  • 小チームの「表札」の色は赤色とします。本書『発想法』には青色と記述されていますが、青色は中チームの表札、緑色は大チームの表札とするのが今では一般的になっています。
  • 「表札」は、元のラベルよりも1段高いところに位置づけられ、このような圧縮表現により、情報処理の次元が2次元から3次元に高まり、情報処理の効率が一気によくなります。元ラベルがならんでいた平面に縦軸が生じるような感じです。
  • 小チーム編成の段階でどこにも入らなかった「離れザル」については、目印として付箋の右下隅に赤点をつけておきます

*上記の情報処理をくりかえして、中チームを編成する
  • 赤色「表札」がついた小チームと「離れザル」(右下隅赤点)を目の前にひろげ、すべてをよく読みます。
  • 前の段階と同様にして、小チーム同士のなかでおたがいに親近感があるチームを編成して、いくつもの中チームをつくります。
  • このとき、小チームと「離れザル」があわさって中チームをつくることもあります。
  • 場合によっては、「離れザル」と「離れザル」とがあわさって中チームをつくることもあります。
  • それぞれの中チームには、チームの次元が識別するために青色の「表札」をつけます
  • この段階でも「離れザル」がまだのこっていてもかまいません。それらの「離れザル」目印のために付箋の右下隅に青点をつけます
  • この段階で、赤色「表札」が「離れザル」になる場合もあります。その赤色「表札」の右下隅にも青点をつけます。

*大チームを編成する
  • 同様にして、中チーム(青色「表札」)と右下隅青点の「離れザル」をひろげ、大チームをつくっていきます。
  • 大チームには緑色の「表札」をつけます
  • この段階でも「離れザル」がのこってもかまいません。それには右下隅に緑点をつけます
  • 大チームの個数(「離れザル」がある場合は、大チームに「離れザル」をくわえた個数)は、5〜10になります。
  • 10をこえる場合は、もう一段チーム編成をくりかえします。


2. 図解法 

その1:検索図解をつくる
*表札をよむ

  • 検索図解のための準備として、あたらしいラベルを用意し、最終の「表札」(大チームの「表札」)をすべて転記します。
  • それら最終の「表札」を再度よくよみ味わいます。

*表札を空間配置する
  • A3用紙を用意し、テーマを左上にやや大きく記入します。
  • 転記した最終「表札」すべてをそのA3用紙上におきます。
  • 論理的にもっとも納得がいく位置、おちつきのよい位置に最終「表札」すべてを空間的に配置します

*図解化

  • その空間配置が意味する内容をつぶやいてみて、その空間配置が適切であるかどうかたしかめます。内容がつながってすらすらと説明できればよいです。
  • A3用紙に「表札」を固定します。
  • 「表札」と「表札」とのあいだに関係記号を記入します。関係記号の例は次です。
  •  A ー B:AとBとは関係がつよい
  •  A >-< B:AとBとは対立する
  •  A → B:AからBへながれる、あるいはAが原因でBが結果
  •  A ⇄ B:AとBとは相互関係がつよい


その2:細部図解をつくる

*ラベルをよむ
  • 大チームの束どれか1つをとりだし、再度よく読みます。

*ラベルを空間配置する

  • あたらしいA3用紙を用意します。
  • 1枚のA3用紙に、1つの大チームの束をおき、中身を展開し、空間配置します。
  • 「表札」を奥におき、中身を手前におきます。
  • 中チーム→小チームへと中身を順次展開していきます。

*図解化
  • すべてを展開しおわったら、大チーム、中チーム、小チームのそれぞれを「島どり」(輪)でかこみます。
  • あらたにA3用紙を用意し、別の大チームも同様に展開します。
  • すべてての大チームを展開し、各チームごとに「島どり」をします。


このようにして図解ができあがると、最初にあった約50件の情報がグラフィックに整理され、全体像は「検索図解」に、こまかいところ(元データ)は「細部図解」を見ればわかるようになります

この段階では、 矛盾をあらわす「AとBとは対立する」といった内容があってもかまいません。心の内面に矛盾があるとそれが図解にもあらわれてきます。矛盾は、ことなる価値観をかかえこむことで生じることが多いです。

KJ法図解をつくると矛盾も図式化でき、矛盾を客観的に見ることができます。 矛盾が可視化できると心の整理ができ、矛盾が目に見えてくると克服のためのアイデアがでやすくなり、それを解決するチャンスが生まれてきます。 


文献:川喜田二郎著『発想法』(中公新書)中央公論社、1967年6月26日


▼関連ブログ
内部探検→記録の方法 - 解説「発想をうながすKJ法」(その1)- 

本書は、国立民族学博物館初代館長・梅棹忠夫が撮影した写真(一部スケッチ)と、彼が書いた文章とをくみあわせてフィールドワークのすすめかたの要点をつかむための事例集です。

本書を見れば、梅棹忠夫がのこした写真と言葉から、世界を知的にとらえるためのヒントを得ることができます。

本書は次の8章からなっています。

第1章 スケッチの時代
第2章 1955年 京都大学カラコラム・ヒンズークシ学術探検隊
第3章 1957-58年 大阪市立大学第一次東南アジア学術調査隊、1961-62年第二次大阪市立大学第二次東南アジア学術調査隊
第4章 日本探検
第5章 1963-64年 京都大学アフリカ学術調査隊、1968年 京都大学 大サハラ学術探検隊
第6章 ヨーロッパ
第7章 中国とモンゴル
第8章 山をみる旅

梅棹忠夫は、「あるきながら、かんがえる」を実践したフィールドワーカーであり、彼が、世界をどのように見、どのような調査をしていたのか、それを視覚的・言語的に知ることができます。

本書の特色は、写真と文章とがそれぞれ1セットになっていて、イメージと言語とを統合させながら理解をすすめることができる点にあります。知性は、イメージ能力と言語能力の二本立てで健全にはたらきます

イメージ能力をつかわずに言語能力だけで情報処理をすすめていると効果があがりません。学校教育では言語能力を主としてもちいてきましたが、これはかなりかたよった方法であり、すべてを言語を通して処理しようとしていると、大量の情報が入ってきたときにすぐに頭がつまってしまいます。

そこでイメージ能力をきたえることにより、たくさんの情報がインプットでき情報処理がすすみます。そのような意味で、写真撮影はイメージ能力を高め、視覚空間をつかった情報処理能力を活性化させるために有効です

写真は、言語よりもはるかにたくさんの情報をたくわえることができます。たとえば写真を一分間見て、目を閉じて見たものをおもいだしてみてください。実にたくさんの情報を想起することができます。あとからでも写真をみてあらたな発見をすることもあります。

こうして、写真と言語の両方で記録をとっていると、イメージ能力と言語能力とを統合することで相乗効果が生じ、視覚空間と言語空間は融合していきます

現代では、ブログやフェイスブックやツイッターなどをつかって、写真と言語とをくみあわせてアウトプットすることが簡単にできます。旅行やフィールドワークに行って、ブログやフェイスブックなどにそのときの様子をアップするときには上記のことをつよく意識して、梅棹流の形式で表現してゆけばよいでしょう。


文献:梅棹忠夫著『ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫、世界のあるきかた』勉誠出版、2011年5月31日

この年表は、宇宙の誕生から現在までの138億年の歴史を、倍率のちがう10個の「レンズ」を通して理解するための資料です。

縮尺のことなる10本の年代軸を「レンズ」とよびそれぞれの時間スケールで見たときにあらわれる重要なイベントが10本の年表にしめされています

ポイントをピックアップします。
年表の年代軸は左から右に若くなり、いずれも右端が現在になる。

150億年、50億年、6億年、7000万年、600万年、100万年、20万年、2万年、2000年、200年と縮尺のことなる10本の年代軸(レンズ)を用意している。

1つの年表における右端の部分についてレンズを1つ拡大したものが、下の年表になっている。

いくつかの年表では、気温や酸素濃度、海水準などの変動曲線もあわせて示し、その時代にどのような環境変動があったのか、視覚的に理解できるようにしている。

この年表を活用して、「時空を自在に飛ぶ感覚を、ぜひ味わっていただけたらと思う

本書が、宇宙の誕生から現在までのシームレスな地球史を認識する手助けとなり、われわれ地球人が進む未来像を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。

慣れてきたら、ぜひレンズ11として「自分史・家族史」を作ってもらいたい。われわれの人生も地球の歴史の一部であり、そして、現在がこれからの未来へつながる位置にあることを実感できるはずである。


レンズ1:宇宙史(150億年前〜現在)
138億年前、無からの猛烈な体積膨張「インフレーション」で宇宙の歴史ははじまった。

レンズ2:地球史(50億年前〜現在)
45億5000万年前に地球の核ができる。最古の生物化石は35億年のものである。

レンズ3:顕生代(6億年前〜現在)
5億3000万年前におこった「カンブリア大爆発」により生物は大型化した。

レンズ4:新生代(7000万年前〜現在)
グリーンハウス(温室世界)からアイスハウス(氷室世界)へ徐々に気候が寒冷化する時代である。

レンズ5:人類時代(600万年前〜現在)
440万年前にラミダス猿人、350万年前に二足歩行、人類が進化する。

レンズ6: 氷河時代(100万年前〜現在)
地球規模の寒冷化が顕著になる。

レンズ7:最終氷期(20万年前〜現在)
19万5000年前、ホモ・サピエンスが出現する。

レンズ8:先史・文明時代(2万年前〜現在)
1万6500年前、縄文時代が始まる。

レンズ9:歴史時代(2000年前〜現在)
375年、大和政権が成立する。

レンズ10:近現代(200年前〜現在)
産業革命がおこる。2度の世界大戦がおこる。

この資料は、時間スケールのことなる10本の年表を同時に一覧できることに最大の特色があります。この「スーパー年表」を見ると、レンズ(時間スケール)のとり方によって、歴史の見え方ががらりとことなってくることがよくわかります。

これは、空間的な見方と対比するとおもしろいです。空間スケールのとり方によっても世界の見え方はかなりちがってきます。たとえば、地表から地上を見る、高い塔から地上を見る、高い山から見る、人工衛星から見る、月から地球を見るなど、空間的な視点を変えると見える範囲・精度は変わってきます。レンズの倍率によって見える世界はことなるわけです

このような、空間的な視点・スケールを変えて見ることは比較的やりやすかったのですが、一方の時間的なスケールを変えて見るという見方は今まではむずかしかったです。多くの人々の場合、上記のなかの「歴史時代」あるいは「近現代」ぐらいしか視野に入っていない状況ではないでしょうか。

そのような意味で、「空間レンズ」ならぬ「時間レンズ」を提供するこの「スーパー年表」は画期的であり、このような時間スケールごとに複数の年表を対比・一覧できる資料は今まではなかったです。

この「スーパー年表」を見ていると、人間の存在が、宇宙空間のなかで小さな存在であるばかりでなく、時間的歴史的にも小さな存在であることがとてもよくわかります。

まずは、この「スーパー年表」を活用して10種類の時間「レンズ」を身につけるのがよいでしょう。

そして、それぞれの「レンズ」(時間スケール)で歴史をとらえなおし、それぞれの「レンズ」を通して見える歴史イベントを想像(イメージ)してみるとよいでしょう。どこまで想像できるでしょうか。歴史とは想像するものです。よく想像できない場合は本書の解説書をみたり、インターネットで検索したりして理解をふかめることが大切です。

このようにして、時間を自在にとびながらイメージ訓練をしていると、今までの固定した見方から脱却でき、さまざまな観点からしかも重層的な見方ができるようになり、あらたな発想も生まれやすくなります。


文献:清川昌一・伊藤孝・池原実・尾上哲治著『地球全史スーパー年表』岩波書店、2014年2月18日


今回から、『発想法』(中公新書)のなかの中核部分である第 III 章「発想をうながすKJ法」(65〜114ページ)について解説していきます。

第 III 章「発想をうながすKJ法」は次の7つの節からなっています。「備品・探検・記録」「グループ編成」「KJ法A型図解法」「KJ法AB型による文章化」「叙述と解釈をハッキリ区別せよ」「ヒントの干渉作用」「累積的KJ法」。

わかりやすくするためにこれらを次のように4つの場面に整理します。

 第1場面:「備品・探検・記録」(66-73ページ)
 第2場面:「グループ編成」「KJ法A型図解法」(73-94ページ)
 第3場面:「KJ法AB型による文章化」「叙述と解釈をハッキリ区別せよ」「ヒントの干渉作用」(94-111ページ)
 第4場面:「累積的KJ法」(111-114ページ)

今回は、第1場面「備品・探検・記録」をとりあげます。その要点をピックアップすると次のようになります。
 
備品を用意
 ペン、紙片などを用意する。

主題を決める
 何を問題にするかというテーマ(主題)を明確にする。

探検
・ 内部探検
 ブレーンストーミングをおこなう。
・外部探検
 問題のもっと積極的な解決のためには外部探検をおこなう。 
 
記録
 事実・意見・アイデアなどを、ひと区切りの内容ごとに圧縮し、エッセンスを紙片に書きだす。

これらを要約すると、主題を決めて、「探検」→「記録」という手順になります。

これらの過程を、現代の、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からとらえなおすと次のようになります。

外部探検とは取材のことであり、目でみたり耳できいたりして心のなかに情報をインプットすることです。また、内部探検(ブレーンストーミング)では、過去にすでに心のなかにインプットされている情報をつかいます

記録とは、情報の要点を書き出すこと(単文につづること)でありアウトプットに相当します

そして、探検と記録の中間の過程は、見たり聞いたりしてインプットされた情報のどれ(何)を記録するかを心のなかでかんがえる過程であり、そこでは情報の選択(あるいは評価)がおこなわれており、プロセシングに相当します。わたしたちは、自分にとって重要な事柄を中心にして記録をとっているわけです。また、ブレーンストーミングは心のなかを内観して、すでにインプットされている情報を想起したり評価したり操作したりする過程であり、これもプロセシングに相当します。

これらを要約すると次のようになります。

 インプット:探検(取材)する
 プロセシング:情報を選択する
 アウトプット:記録をつける(単文につづる)

これらは全体としてひとつの情報処理の過程になっています。情報処理をつよく意識することが今日では大事です。

次に、これらにについて詳説します。

*備品
 次の物品類を用意します。
 (1)黒色ペン
 (2)赤色・青色・緑色のペン
 (3)クリップ多数
 (4)輪ゴム(必要に応じて)
 (5)紙片あるいは付箋(75X25mmを推奨)、ラベルなど
 (6)A3用紙
 (7)ワープロ
 (8)机・テーブル

備品として用意する物品として、本書『発想法』では、色鉛筆もあがられていますが、色ボールペンあるいはサインペンでよいです。

本書では、紙片として「名刺大の紙片」があげられています。これでもよいですが、今日では付箋あるいはラベル(シール)が便利です。大きさは、 個人でおこなう場合は 75X25mm の大きさが推奨できますが、決まりはなく自分のつかいやすい大きさでよいです。大きすぎるとたくさんひろげたときに場所をとり、小さすぎると文字が記入しにくくなります。

なお今後、紙片あるいは付箋などを総称して「ラベル」とよびます

*主題設定
自分の心のなかをじっくり内観し、本当は、自分はどんなことにとりくみたいのか、何を問題にしたいのかというテーマをはっきりさせます。単純な行為ですが、問題解決の出発点としてとても重要なステップです。


1. インプット:探検(取材)する
外部探検としては、観察や聞き取りにより心のなかに情報をインプットします(くわしくは本書第 II 章を参照してください)。

ブレーンストーミングをおこなう場合は、心のなかにすでにインプットされている情報をつかうので、あらたな取材は省略してかまいません。

発想法初級ではブレーンストーミング(内部探検)のみおこない、外部探検は中級でおこないます。


2. プロセシング:情報を選択する
テーマ・課題をめぐり、重要な事柄、関連情報は何であるかかんがえます。直観も重視します。

ブレーンストーミング
ブレーンストーミングは集団でもできますが個人でもできます。まずは個人でやってみるのがよいでしょう。

心のなかに過去にインプットされた情報(心のなかにすでにある情報や記憶)をおもいだします。心のなかを内観しながら、すでにインプットされている情報を活用します

 個人でおこなう場合
・ブレーンストーミングを個人でおこないます。
・自分の心のなかをじっくり内観します。
・記憶を想起しながら、事実・意見・アイデアなど、テーマに関係のありそうなことなら何でもだしていきます。
・他人からえられた情報も想起します。

数人の会議でおこなう場合
・参加者の意見をできるだけはきだします。
・アイデアだけでなく、関連的な知識もあつかいます。
・多種多様な意見をだすようにします。
・ブレーンストーミングの批判禁止の条項はとくに有効です。
・事実報告や見解もはきだします。



3. アウトプット:記録をつける
事実・意見・アイデアなどの情報を、ひと区切りの内容ごとに圧縮し、エッセンスを「ラベル」に書きだします。紙片や付箋やラベルなどを総称して「ラベル」とよびます。
1枚1項目とし、 単文につづり、 述語までしっかり書きます。 
・コンテキスト(文脈)をおもんじます。
・内容の意味や構造をころさないまま、その細部をきりすてて圧縮します。
・抽象化しすぎないことが大切です。
・書きだす付箋の枚数は約50枚を推奨します。枚数はなるべく多い方がよいですが、多すぎると後の処理に時間がかかり、少なすぎると実施しても意味がないので、まずは、50枚ぐらいがよいと経験上いえます。
・「発想をうながすKJ法」の第一場面である、取材(探検)から記録をつけるまでの一連の作業を「ラベルづくり」とよぶことにします。 


最後にもう一度、「ラベルづくり」の方法(ラベル法)を整理すると次のようになります。〔インプット→プロセシング→アウトプット〕の過程になっています。

取材する → 情報を選択する → 単文につづる


文献:川喜田二郎著『発想法』(中公新書)中央公論社、1967年6月26日

140410

空間記憶法の実践形態のひとつとして、大きな書店をつかって記憶する方法があります。

先日わたしは、池袋にあるジュンク堂書店にいってたくさん本を読んできました。

まずフロアーマップをみて、どのフロアーの、どこの場所に、どの分野の本があるかを頭にすっぽり入れます。

そして、最上階から下の階へおりながら本を読んでいきました。9階では、動物写真集を見て、仏像の本、地方コーナーで沖縄の本を読んで、印象派の画集を見て、『齋藤秀雄語録』、『ラインの黄金』などを読みました。次に7階におりて、自然地理、チベット、ヒマラヤ、『地球史年表』を見ました。6階では、ウェブサイト・マニュアル、アップル・マニュアル。4階では宗教。1階では最新刊本、NHKテキストなどを読みました。

ジュンク堂書店のよいところは、各階に椅子と机がおいてあり、つかれたらすわって本を読むことができることです。

そしてもう一度、フロアーマップを見直し、読んだ本の内容を一気に想起しました。フロアーマップを見れば、どこでどのような本を読んだかをすぐに思い出せます。本の中身は、本の中の重要なページや写真・図表などを、イメージとしてまず想起することが基本です。

内容を想起するときには、その本を読んだその場所(空間の様子)とともにその内容をおもいだすようにします。その空間を視覚的に(イメージとして)おもいだすことにより、その本の内容をおもいだせるかどうか訓練します。

以上の方法を整理すると次のようになります。 

 1)大型書店のフロアーマップ(書店の構造)をすっぽり頭の中にインプットします
 2)本を読む場所を確認・意識しながら、本を読みます
 3)フロアーマップを手がかりにして、読んだ場所(空間)と本の内容を想起します

こうすれば、書店という立体構造の中に、本の情報をうめこんで記憶することができ、その大型書店は巨大な「情報倉庫」となって、フロアーマップは、情報想起のためのインデックス・チャートとして利用できます。これは、気軽に楽しく行動しながら記憶ができる方法です。

なお、どうしても必要だとおもった本は買ってかえればよいです。上記の記憶法をもちいれば、本当に必要な本がどれであるか明確になります。

▼ジュンク堂池袋本店
http://honto.jp/store/detail_1570019_14HB320.html 

140425 大興安嶺探検

◆amazon
大興安嶺探検 (朝日文庫)

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【中古】 大興安嶺探検 朝日文庫/今西錦司【編】 【中古】afb
 
《朝日文庫 朝日新聞社》今西錦司編大興安嶺探検 【中古】afb


本書は、1942年5月〜7月、今西錦司を隊長としておこなわれた、北部大興安嶺(ほくぶだいこうあんれい)探検隊の報告書です。支隊長には川喜田二郎、支隊員には梅棹忠夫がいました。

これは、地球上最後の地理的探検の記録であり、同時に、あらたなフィールドワーク(学術的現地調査)のはじまりをつげる貴重な論考です

大興安嶺とは、当時の満州国の北西部、満州・ソ連国境ちかくに位置する密林地帯であり、「満州高原」とよばれることもありました。
オロチョン族のわずかな人口が、野獣をおうて点々とすまいをうつしているだけである。北部大興安嶺の樹海は、南北が緯度にして三度、東西が軽度で五度のりろがりをもっている。そのなかには、北海道の全島がスッポリとはいってしまう。(42ページ)


白色地帯(航空写真もない、まったくの未知の地域)に入っていく場面はもっとも印象的でした。
6月15日から、支隊は、いよいよ白色地帯にふみこむことになった。航空写真のたすけをはなれて、目標のない大洋に にた世界にふみこむのは、やはり不安とあたらしい緊張とをともなう出発であった。(286ページ)

峠のうえからは、理想的な白色地帯の展望がえられた。いかに白色地帯という名にふさわしい、つかまえどころのないながめだった。特徴のない、わずかな尾根ひだが、かさなりあって錯綜した一大高原地帯が、あすの行程に予想された。(288ページ)

本書の解説で本多勝一さんは次のようにのべています。
これは「地理的探検の最後の花火」であると同時に、新しい学術探検への脱皮でもあった。 


白色地帯つまり前人未踏の地域にはいっていゆくことが探検(地理的探検)です。そして、探検をベースにし、探検的方法をつかって、今度は、 学術的な未知の領域に踏みこむのが「学術探検」あるいはフィールドワークです。本書の初版には、98ページにのぼる学術報告が実際にはついていたそうです(文庫版では割愛されています)。
 
具体的には、地形学・地質学・植物学・動物学・人類学などの分野がそれにあたります。従来の地理的探検時代における精神的・技術的伝統は、そっくりそのままこれらの分野の学術探検にひきつがれ、それぞれの分野ごとにその地域を学術的にくわしくしらべて成果をあげていきました。

ここで重要なことはその精神は開拓者精神であり、その仕事はパイオニアワークであるということです。パイオニアワークとは未知の領域にふみこんでいく仕事です。たとえば、未踏峰の山頂にたつこと(初登頂)もかつての典型的なパイオニアワークでした。
 
そして、その後、地球上には、初登頂できる山も地理的探検ができる地域もなくなり、さらに今日、21世紀に入り、学術探検ができる場所もほぼなくなりました。地球上は、ひととおり調査しつくされてしまったのです。

そこで、現在では、各専門分野の知見をいかして環境保全に貢献したり、あるいは専門分野にとらわれずに、 そこでくらす人々の心の中もふくめて、 ひとつの地域をひとつの場として総合的に探究することがパイオニアワークとなってきています。一方で、地球を、グローバルに総合的に研究することもあらたな領域となっています。

過去の人々と同じことをくりかえしたり、前例を確認したり、既存の常識にしたがったりするのではない、パイオニアワークという観点をもつことには大きな意味があり、そのために本書はとても参考になります。 


今西錦司遍『大興安嶺探検』(朝日文庫)朝日新聞社、1991年9月15日

高度情報化社会をむかえ、速読法や記憶法を情報処理の観点からとらえなおすことが重要になってきました。

速読法と記憶法とは相互補完の関係にあり、両者をくみあわせて実践することにより相乗的な効果をあげることができます

具体的には、速読で概略をつかみここぞというところをしっかり記憶するのです。

速読法では本を読むのに極力時間をかけません。その第1の目的はその本の概略をつかむことであり、大局を見ることであり、要点を瞬時につかむことです。

概略をつかむことには時間をかけないことがポイントであり、そもそも大局を「見る」ことには時間はかからないのです。

しかし、重要な事柄はしっかり記憶しておかなければ知識をつかいこなすことはできません。そこで今度は、多少時間がかかっても、「ここぞ」という重要な箇所(部分)はしっかり記憶するのです。

ここでは、「ここぞ」の選択が重要になってきます。課題によって人によって、おなじ本を読んでも「ここぞ」はちがってきます。

「ここぞ」という重要箇所を選択するためにも大局を見る必要があるのです。大局が見えれば選択しやすくなりますが、大局を見ないで選択すると、あとで迷路にはまります。

たとえば、1冊を速読し(大局を見て)、ここぞというページを何ページか選択して、そこに関しては記憶法をつかってしっかり記憶します。写真や図表があれば記憶しやすいでしょう。
 
あるいは、課題をきめて、その課題に関する本を10冊ぐらい一気に速読します。そして、これという重要な本や気に入った本を2〜3冊選択し、それに関してはしっかり記憶するという方法がよいでしょう。


自分の行ったことのない世界、常識とはちがう異空間について知ることは、自分の心をひろげ、また、潜在意識にインパクトをあたえることができるのでとても意味のあることです。


この本を書いた趣旨には、ひとつ大切なものがある。野外における人間科学の研究法について、ひとつの伝統をつくりあげようという試みである

この本は、「遠征 その人間的記録」ともいうべきものである。あるいは、「ある探検隊の生態」なのである。

私たち隊員たちは何度も、テープレコーダーを前にして経験を語りあった。それらを、できるだけ編集したのが、この本である。

この探検隊の体験が基になり、『パーティー学』とう小著が生まれ、その縁で『チームワーク』『発想法』『続・発想法』が生まれ、「KJ法」が生まれ、「移動大学」という事業が生まれたのである。他方、この探検隊のご縁がヒマラヤの技術援助へと展開してきている。

出かけた地方は、ヒマラヤでもっとも山奥の、ドーラギリ(ダウラギリ)峰北方の高原であった。そこで私たちは、チベット人のなかでかなり長いあいだ暮らしたのである。これらのチベット人は、同じチベット人たちのなかでも、とりわけ未開な人びとだった。だた、これほど感銘の深かった日々を私たちは一生のうちに、そう何度も味わうことはできないだろう

ネパール北部のトルボ地方に学術探検をおこなう夢は、私が1953年に、マナスル登山隊の科学班の一員として中部ネパールを歩いてもどったころからである。前回の経験以来、私はチベット人の住む世界にひじょうな魅力を感じはじめていた。

ポカラ。この町が将来、世界屈指の山岳観光都市としてモダーンな発展をみるほど、ますます洗練した形で保存さるべきものだ。

もちろん技術援助は重要だ。けれど、各国が競争で、この国に技術援助や、資金援助をしているじゃないか。

タカリーはわずかに人口1万人にもみたないほどの少数民族である。しかも、こんなヒマラヤの大山奥に住む人々である。それだのに、彼らの身につけた文化は、すこし環境を改善するならば、西欧の近代的な資本主義社会のなかに投げこんでも、ちっとも不調和を感じさせないほどのものであろう。

ツァルカ村についた!

何ヵ月も準備し、二ヵ月も旅してたどりついた、その村だったのか。ポカラを出てから25日目、トゥクチェからでも2週間の旅であった。

ツァルカ村は、まるで大海のなかに浮かぶ一かけらの孤島のように思われた。

村は、海抜じつに4150メートルの高所にあった。全ヒマラヤを通じて、おそらく最高所の農耕地帯であった。こんな高度には、春まきオオムギの単作地帯のみが現れる。

チベット人たちは、生まれてから風呂にはいったこともなく、いわんや洗面などはしない。毎朝、村の下の支流まで降りていって、葉をみがいたり、顔を洗ったり、ヒゲをそったりするのは、われわれだけであった。

しかし、私たちがいるために、「文化変化」が起こりだしたのであった。
「すまないが、石鹸を一度使わせてくれない?」
「ヒゲをそりたいから安全カミソリを貸してくれ」

手はじめとして、彼らの家系図をつくる。詳細な村の地図をつくる。

家畜はヤク、羊、山羊だった。これらの家畜からバターやチーズをつくり、ヤクの毛や羊毛をつみ、皮を利用し、燃料を得る。また、増殖した家畜自体が商品ともなっている。

これに反して、畑はかぎられていて、村人の自給用の食物にもたりない。村は畜産を主とし、農耕をむしろ従とするのであった。

それから、チベット人のすべてに浸透している商業活動がある。
 
この村には共同体的結束がある。その反面、村人のあいだにはひじょうな個人主義がある。

鳥葬

死体を刻んで鳥にあたえる葬り方。こんな奇妙な風習が、チベット人のあいだにある

チベット人の葬り方に四種類あることをきいた。火葬、鳥葬、水葬、土葬である。水葬は、死体を川の中に投げこむものだ。

「人が死ぬと、魂はすぐ死体を去って、川のほとりや丘のうえなど、いたるところをさまようのです」

「土葬は、悪い病気で死んだときにおこなうものです。火葬をすると、天にいます神様がくさがるので、ふつうにはおこなわないのです」

刀で死体をバラバラにする。岩で頭蓋骨を砕く。鳥がたべやすいようにという積極的配慮は、この頭蓋骨の粉砕によって明白に証明された。

空を見上げると、いったいいつのまに集まったのであろう。ついさっきまでは一羽くらい飛んでいたような気もしたのだが、いまや十数羽の巨大なハゲワシが、大空をぐるぐると輪舞している。村人たちがチャングゥと呼んでいる鳥だ。

ハゲワシは、まるでジェット戦闘機を思わせるシュッというものすごい羽音とともに、一機また一機と地上に着陸してきた。

翌日。背骨ひとつを残して、そこにはなにもなかった


わたしは学生のころ本書をよんで鳥葬の存在を知ってとてもおどろきました。ヒマラヤには自分の知らない世界がある。是非いってみたいとおもいました。

本書は、現地で記録をとるとともに、帰国後に隊員に自由にかたってもらった結果をあわせて「KJ法」をつかって編集し文章化したものです。「KJ法」をつかうと総合力で一本の紀行が表現でき、 探検隊のメンバーが一体化して、あたかもそこに一人の人格や個性があるかのようになってきます。

また、現地ではあちこち移動しまくるよりも、一カ所になるべくながく滞在した方が体験がふかまることもおしえてくれています。

旅行やフィールドワークにみずから出かけることも大切ですが、このような紀行文を読むことによって、普段とはちがう異空間を自由に想像してみることも重要です。古今東西の紀行はこのような観点からも大いに活用していきたいものです。


本書は、記憶法の基本について解説しています。記憶は、ただおぼえればよいというのではなく、情報処理システムの一部として記憶法を実践し、よくできたアウトプットにつなげていくことが大切です。

以下に、ポイントをピックアップします。

記憶法は、巧みな情報操作法と連動していなければなりません。

土台となる知識を樹木の根幹に、新しい知識を枝葉にたとえてみるといいでしょう。ある程度ラフな記憶(根幹の記憶)が覚えられると、さらに次の細かい段階の記憶(枝葉の記憶)が定着しやすくなります。

記憶の際には、表面的な意識だけでなく、潜在意識と関連の深い感情や情緒の側面を十分に活用することが必要になります。

記憶力を伸ばす三大要素は、記銘、保持、想起です

何かまとまったことを学んだり、頭に入れたりしたら、同様に、すぐにざっと思い出す習慣をつけるように心がけてください。

どんな分野でも、専門家と呼ばれる人は、その分野に関してさまざまな図式のレパートリーを頭の中にもっているものです。また専門家とは、ある分野に関する幅広い定量的な知識(数字で表せるようなデータなど)の体系をもっている人のことです。自分が征服しようと念ずる分野に関して、自分の内部に、定量的で体系立ったデータバンクを効率よく構築していきましょう


・固定法
「固定法」(Yoke method)は、「情報を結合するテクニック」であり、「情報の自由な連結の中から、新しい発想力を得る方法」になっています。

皆さんがものを覚える前に大事なことは、ライフ・テーマをきちんと設定しておくことです。自分が何を追求しているのか。何のために覚えようとしているのか。何のために情報収集をしているのか。その柱を明確にして立てておいてほしいのです。

そうすれば、その柱の周りに自然に情報がつながってきます。人生の幹をしっかり固定させましょう。たとえば、ライフ・テーマとして三つの柱をもち、この三本の柱の間であらゆることをします。
 

・空間法
「空間法」(Space method)は、「心の三次元空間を操作するテクニック」であり、「立体的なマインド空間をつくりあげる方法」です。

本を読んでいる周囲の空間をしっかり眺めてみましょう。後ろもしっかり見るのです。その空間をできるだけ覚えてください。どこに何があるのでしょうか。

視点を自由に変えられるようなイメージの空間をつくってください。いろいろなことを覚えるとき、すべてそういうイメージ空間をつくることができるようになります。

どこの部屋に行っても、周囲をくるりと見て覚えましょう。すると、まるごとの空間の中で、いろいろな記憶が残るようになります
 

・三点注視法
周囲をよく見渡して、三ヵ所を順番に見つめます。ここで大切なのは、風景の一部をなす何かを明確に見ることです。そして、目を閉じて、見つめた三点の様子を順番に明晰に想起するのです。

以上の操作を何回か繰り返してください。三点が三角形をなしていると見なして行うと全体の印象がまとまりやすいでしょう。

この訓練で入力を鍛え、瞬間記憶の力と入れたばかりのものを想起する力を鍛えてください。


上記のように、まず記憶の前に、ライフ・テーマを明確にする必要があるでしょう。そして記憶法は、何といっても、自分のもっとも興味のある分野の概略(基本)をおぼえることからはじめるのがよいです。 もっとも興味のある分野の記憶ができると、それに関連づけてあたらしいこともおぼえられます。 それに対して興味のない対象では意欲がわかないので、潜在意識が拒絶反応をおこして記憶する作業を邪魔してしまいます。

空間記憶法の実践では、動物園・植物園・博物館・書店などにいって、その空間を利用するとすぐに効果があがります

たとえば動物がすきな人は動物園にいって、それぞれの動物とその関連情報を、それが展示されている場所(動物園内の位置)とともにおぼえます。さらに、動物園の中の特定の場所で解説書や関連書籍を読んで、読んだその場所にむすびつけてその本の内容やポイントをおぼえます。そして、その場所をおもいだすことによって、そこで読んだ本の表紙・題名・図表や写真・ポイントなどをおもいだせるように訓練します。

同様に、植物がすきな人は植物園に、民族がすきな人は民族学博物館に、歴史や文化がすきな人は国立博物館に、地学がすきな人は自然史博物館に行って空間記憶法を実践すればよいでしょう。

そのような特定の場所に行ったら、カレンダーに(その日付の箇所に)その場所をメモしておきます。こうしたことをくりかえしていると、たとえば年末に1年分のカレンダーのメモをザーッと見直すことにより、その場所とともに、そこでおぼえた情報をザーッと想起できるようになります。カレンダー上のメモや、その場所がのっている地図は、記憶された情報を想起するためのインデックスになります。つまり、心の検索システムができるわけです

さらに、記憶したことをもとにして、見えなかったところを想像したり仮説をたてたりして、よくできたアウトプットをだすことを目指すとよいでしょう。ただ覚えるだけではなく情報処理の一環として記憶法を実践することが重要です。



本書は、次元について、イラストをつかってくわしく解説しています。本書を見ることで次元に関する理解をふかめることができます。

ポイントをピックアップします。

次元とは、1点の位置を決めるために必要な数値の個数であると定義できる。

0次元:大きさをもたない「点」の中では、位置を決めようがないので、「点」は0次元である。

1次元:「直線」は、基準となる点を決めておき、そこからの距離に相当する1個の数をあたえれば1点の位置がきまるので、1次元である。曲線でも同じことがいえるので曲線も1次元である。

2次元:「面」は2次元である。縦と横の目盛りを指定する数値(たとえばX=4,Y=3)をあたえれば1点の位置が決まる。

3次元:私たちの暮らす空間は、基準となる点から縦,横,高さの方向の三つの数値で位置を決めることができることから、3次元であるといえる。

次元の数は、点が動くことができる軸の数(自由度)とも一致する。1次元では一つ、2次元では縦,横の二つの軸がある。3次元では縦,横,高さの三つの軸がある。

1次元には「かたち」はないが、2次元では「かたち」が登場する3次元では、2次元にはない「立体」が登場する

ある次元の数をもつ空間は、それよりも低次元の空間を内部に含むことができる。

低い次元で不可能なことでも高い次元なら可能である
。 

私たちがものを見るとき、眼球の奥にある「網膜」は、外界からの光を受けとる「2次元」のスクリーンである。そのため、そのスクリーンには物体の像が並行的に映し出される。左右の眼球ははなれた位置にあるため、各スクリーンに映しだされる2次元像は同じにはならない。脳は、左右の網膜に写る像の「ずれ」をもとにして奥行き情報を補っている。私たちが見る3次元像とは、こうして脳内で再構成された「間接的な3次元像」にすぎないのである

アインシュタインにより提唱された「特殊相対性理論」により、3次元空間と1次元の時間はつねに一体となって変化することから、空間(3次元)と時間(1次元)をあわせたものが「4次元時空」とよばれるようになった。

アインシュタインは、「一般相対性理論」により、重力の正体が「4次元時空の曲がり」であることを示した。

物理学者たちは、現実の世界が4次元(以上の)空間であるかどうかについて、何らかの実験結果が今後数年のうちに得られるだろうと期待している。

「超ひも理論」では、宇宙は10次元時空であるとする。

私たちが住む3次元空間は、9次元空間に浮かぶ1枚のブレーン(膜)にすぎないと考えるのが「ブレーンワールド」仮説である。


このように本書は、0次元の世界から高次元宇宙まで、次元の不思議な世界を解説しています。

情報処理の観点からは「4次元時空」をフルにつかうことが重要です

たとえば、文章を前から後ろへ順番に(時間をつかって)音読・黙読するのは1次元的です。1次元だと直列的にしか情報を処理できず、大量情報を一気にインプットしようとすると脳はつまってしまいます。

そこで、視覚領域を活用して次元を2次元に高めると、情報の並列処理が可能になり、情報処理の効率は高まります。たとえば、近年のコンピュータは複数のプロセッサを並列させて情報処理をすすめていることからも、並列処理の有効性がわかります。

さらに、次元を3次元に高めれば情報処理の効率はもっと高まり、とりあつかえる情報量は圧倒的に増え、大量の情報が処理できるようになります。ここでは、わたしたちがすんでいる3次元空間をうまくつかうことがポイントになってきます。何かを記憶するときも、 イメージをえがくときも3次元空間の中でおこなった方がよいのです。

そして、3次元空間に1次元の時間をくわえて「4次元時空」にすればもっとよいわけです。 「4次元時空の中の1点は、場所と日時を指定すれば決めることができます。わたしたちは「4次元時空」のなかの1点に存在して暮らしてるのであり、わたしたちの人生は「4次元時空」における軌跡にほかなりません。したがって、「4次元時空」をフルにつかいきることは情報処理の観点からも生き方の観点からも自然な方法です。

たとえば、毎日、おなじルートを通勤しているだけで、ただ時間だけがながれていくといった生活は1次元的な生き方です。時間だけしかつかわないと1次元的な人生になってしまい、情報処理の効率も効果もいちじるしく低い状態にとどまり、とりあつかえる情報も非常にかぎられてしまいます。

そのような人はとにかく旅行にでかけることです。これだけですぐに1次元を打破でき、「4次元時空」の存在になれます

このように、次元を高めて「4次元時空」のひろがりとして人生を実践すれば、とりあつかえる情報量は格段に増え、ゆったりとした大きな世界のなかで余裕をもって情報処理ができ、ゆたかな情報とともに生きていくことが可能になります

なお、もし、5次元以上をとりあつかえるとすれば、情報処理の性能はさらにあがることになります。もしかしたら潜在意識は、もっと高い次元ではたらいているのかもしれないとかんがえるととても興味深いですが、現時点ではこれ以上の議論はできません。


文献:『次元とは何か 0次元の世界から高次元宇宙まで』(改訂版)(Newton別冊)、ニュートンプレス、2012年5月15日


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ネパール王国探検記―日本人世界の屋根を行く (1957年) (カッパ・ブックス)

ネパール王国探検記 (講談社文庫)

フィールドワークの記録をいかに書くか、『ネパール王国探検記』はそれを知るための原点となる非常に重要な本です。

1953年、ヒマラヤの巨峰マナスル登山隊の科学班の一員であった川喜田二郎は、ネパール王国に約半年間にわたって滞在し、ヒマラヤ山麓を踏査しました。本書はそのときの学術探検記です。おもに文化人類学的視点から当時のネパールの様子を詳細に記録しています。

川喜田が参加したのはマナスル第一次登山隊、この隊は、13名からなる登山班のほかに2名からなる科学班がつくられ、川喜田はこの科学班のメンバーでした。


ネパールの首府カトマンズはロマンチックな町だった。まず驚かされるのは、お寺の多いこと。まるでお寺で埋まっているかと思うばかりだ。見慣れないヒンズー教のもののほかに、日本の寺院建築から受ける印象と通じる木造のものが少なくない。

カトマンズを発って5日目のことだった。私たちのコースは、海抜1300メートル以上もある「ネパール谷」の盆地から、いったんは海抜2000メートル以上のカカニ丘を越え、それから一挙に亜熱帯の谷間へくだっていたのである。

われわれの歩んできた道、それはカトマンズとポカラとを結んで東西に走る、いわばネパールの東海道だ。

ヒンズー教の人生観が支配しているらしい亜熱帯では、同時にカースト制度の社会ができあがっているらしい。カースト制度というのは、インドの社会を支配する有名な階級制度である。それぞれの階級をなすカーストは、ほかのカーストとは絶対結婚しないといわれる。上級のカーストの者はとりわけ下級のカーストの者を不浄扱いし、ばあいによっては、体に触れることも厳禁する。各カーストには、それぞれ職分というものがあり、ほかの職業を自由にえらぶことができない。

カリ・ガンダキ。この大河は、はるかなチベット高原に源を発し、やがて、世界屈指の2巨峰 -ドーラギリとアンナプルナ- の間で大ヒマラヤを真っ二つに断ち割り、氷河の水をあつめつつさらに南へ、亜熱帯の世界へと休みない旅を続けている。

カリ・ガンダキ上流に位置するトゥクチェ。ここでくらすタカリー族の富裕階級は、高等教育を受けさせるために、自分の子弟ををインドの大学に送っていて、私が訪れた当時にはすでに、パナレス大学を卒業したマスター・オブ・アーツが一人生まれていた。

トゥクチェを過ぎると、峡谷はしだいに打ちひらけていく。いつのまにか私たちはすっかり様子のちがった世界に来ていたのだ。それは高原と砂漠の国である。たった数日行程のうちに、なんという変わりようだったろう。ここはチベット人の世界である。

チベット人の世界にふみこんでから、いちばん目につくもののひとつはおびただしいチョルテン(仏舎利塔)である。

チベット人がくらすカルチェ村にすみこんで。いたるところに牧場があった。耕作地がおしまいになっているところよりずっと上の方まで。

死体を粗末にするチベット人は、死体の霊魂のゆくえについては、どうやら非常に関心を抱いているらしい。この村では、人が死ぬとラマは彼の霊の死後の運命を占うのである。

愛することも厳しく、憎むことも徹底している。喜びにつけ悲しみにつけ、チベットの空のように鮮烈で深い。

純粋に遊牧的な生活をするチベット人にくらべて、半農半牧で定住生活をする農耕チベット人のほうに一妻多夫の割合が多いのは、定住生活のために財産をたくわえる見込みが多いためである。そのため、家産を分割すると不利になる事態が、いっそう頻繁に起こるからであろう。

熱帯の悪疫の流行する風土が教えた、衛生学的な経験の知恵と、それとむすびついて発展した心理的な物差しが、カースト社会の形成にたいして、ひとつの必要条件を与えてはいなであろうか。

私はまず、ノートに書き付けた記録を、片っ端から一枚ずつのカードに分解して書き写してゆく。カードの上端に、内容を一行で簡潔にあらわしたキャッチ・フレーズを書きこむ。

カードをバラバラ見ながら、思いつくままに、さらに小分けの項目を紙きれにひとつずつ書く。それから、そのメモを書きつけた紙きれを、机の上いっぱいに並べて、ああでもない、こうでもない、と思いながら順序だてる。それがすむと、それにしたがって、原稿を書き下ろすための第何章第何節というプログラムをつくる。そのプログラムどおりにカードを並べる。カードをくくりながら原稿書きにかかる

人間というものは、表現してみなければ知識が身につかないものである。

ヒマラヤに住む人びとの映像がだんだんはっきりした形をとってきた。

紀行の形を借りて説いたフィールドワークの方法論への執着は、ついにKJ法となり、『発想法』『続・発想法』という諸著作へと展開してきたのである。


本書は、今から61年前におこなわれたネパール王国のフィールドワークのようすを紀行として記録するとともに、最終章では、ヒンズー文化・チベット文化・漢文化について、比較しながらそれぞれを考察をしています。

本書には、体験記録と方法論の二重構造が存在します。ひとつは、当時のネパール王国を知る貴重な記録であり、もうひとつはフィールドワーク方法論です。

フィールドワークとKJ法、情報処理の仕方についてまなぶうえで、本書は大いに参考になります。


東京・上野では、毎年春に「東京春祭」(東京・春・音楽祭)が開催されていて今年で10周年をむかえました。

この音楽祭は、企画がおもしろくてプログラムが多彩であるばかりでなく、そのウェブサイトがとてもすぐれています。具体的には知りませんが、全体を企画・コーディネートしている人がすぐれていることが想像できます。

ウェブサイトをみて演奏会を選択できるだけではなく、それぞれの演奏会の楽曲や演奏者に関する豊富な情報が手に入ります。そこで、

 1)演奏会にいくまえに、ウェブサイトをざっとみて
 2)演奏会場で生演奏をき
 3)帰宅後、ウェブサイトを再度 視聴すると、

格段に味わいが増して理解がすすみ体験もふかまります。

高度情報化社会をむかえた今日、何らかのイベントを開催するときに、事前と事後にウェブサイトで適切な情報を聴衆・観衆につたえることが重要になりました。このような「ガイドサイト」の重要性が増してきています。 

よくできた「ガイドサイト」があれば、現場でのナマの体験とガイドでの解説とを組み合わせて理解をふかめることができます。

イベントは、その場でよいものを見せれればよいというだけではなく、よくできたウェブサイトをつくり、アウトラインや要点、トピックス、専門的な解説などの情報を適切に提供できるかどうかもその成否をわけるポイントになってきました。主催者には、イベントそのものを成功させるだけでなく、よくできた「ガイドサイト」をつくりだす能力ももとめられています。演奏会だけではなく展覧会などでも同様です。

▼東京春祭(東京・春・音楽祭)のウェブサイトはこちらです

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