発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

問題解決にとりくむとき、ひとつの課題が決まったら、それに関して情報を収集し、認識をふかめなければなりません。そのときつぎの3段階を踏むと効果的です。

第1段階:大局( 全体)をみる
第2段階:局所( 部分)をほりさげる
第3段階:イメージをふくらませる


たとえばわたしは、地学の調査・研究を長年やっていて、そのときの基本的なやり方はつぎのとおりでした。

(1)平面的に、できるだけひろく地表を調査します。
(2)ここぞという地点を選択して、ボーリング調査をし、垂直方向のデータをあつめます。
(3)(1)と(2)のデータをくみあわせて、全体構造のイメージをふくらませます。

(1)では、幅広く全体的に調査し平面的なデータをあつめます

それに対して(2)では、狭く深く調査して垂直的なデータをあつめます。地学ではボーリングという手法が有効ですが、どこでボーリングをするか、その地点の選択が非常に重要です。あちこちでやみくもにボーリングをすることは物理的にも予算的にも不可能ですし意味もありません。ここぞという地点をいかにうまく選択するか、課題を追求するうえでの急所ともいうべき地点を選択するのが理想です。

(3)では、(1)と(2)の情報をくみあわせて、見えないところは想像してみます。立体空間のなかで構造をイメージしてみると、その地域をおおきな場として、空間的構造的に一気にとらえられるようになります。さらに、その場の歴史や原理までもわかってくることがあります。


また、たとえば、地球について理解をふかめようとおもったら、

(1)地球儀、Google Earth、インターネット、概説書などで地球の全体状況を見て、地球の大局をつかみます

(2)ここぞという地点を選択し、実際にそこに行ってみてしらべてみます

(3)(1)と(2)の情報をくみあわせて、地球に関するイメージをふくらませます

(2)において、ここぞという地点としてどこを選択するか、どこへ行くか、おなじ地球上にすんでいても、課題によって人によって大きくことなってきます。わたしの場合はヒマラヤを選択しました。この例では、(2)の行為は、旅行とかフィールドワークとよばれます。


以上のように、「大局局所想像」という三段階は、課題を追求し認識をふかめるためにとても有効です。とくに第2段階における局所の選択について意識してみるとよいでしょう。

本書は、「移動大学」という特殊な挑戦を通して、フィールドワークやチームワーク、さらに文明の改善についてのべています。

「移動大学」とは、テントでのキャンプ生活をしながら、フィールドワークと「KJ法」にとりくむ2週間のセッションです。わたしは2回参加しました。

「移動大学」の特色は、そのユニークなキャンパス編成にあります。

まず、6人があつまって1チームをつくります。つぎに、チームが6つあつまって1ユニットをつくります。1ユニットは36人になります。そして、ユニットが3つあつまって全キャンパスになり、その定員は108人になります。

このようにして、個人レベル小集団レベルシステムレベルという3つのレベルがキャンパス編成のなかにおりこまれています。

「移動大学」はどのような経緯ではじまったのでしょうか。要点はつぎのとおりです。

1968~69年、大学紛争が全国的に荒れ狂った。この問題にとりくんだ結果、これは大学問題というよりももっと根のふかい文明の体質の問題であることがわかり、それを根本的に解決しなければならないということになる。その問題とは、環境公害・精神公害・組織公害の3公害である。

文明の体質改善という問題に最も役立つような事業は何かという問いから「移動大学」という構想がうまれた。「移動大学」は、文明への根本的反省からスタートしたのである。そのキャッチフレーズは「参画社会を創れ」である。

2週間のセッションでは、フィールドワークと「KJ法」にとりくみます。「KJ法」とは、移動大学創始者の川喜田二郎が考案した総合的な問題解決手法です。

問題の現場に実際に行ってみることは重要なことである。フィールドワークは「探検の5原則」に基づいておこなう。

1)テーマをめぐって360度の角度から取材せよ
2)飛び石伝いに取材せよ
3)ハプニングを逸するな
4)なんだか気にかかることを
5)定性的に取材せよ

「探検の5原則」に基づき、「点メモ」→「花火日報」→「データカード」→「データバンク」といった技術をつかって、フィールドワークからデータの共同利用、チームワークを実践し、あつまったデータは「KJ法」でくみたて、問題解決に取り組む。

「移動大学」の実践から、川喜田はつぎのことを協調しています。

「移動大学」は、問題解決にとりくむひとつの広場であり、この広場の中で、いきいきとした人間らしさ、春暖のもえる姿をまのあたりにした。

現代社会では、「個人レベル」と「システムレベル」はあるのだが、生身の個性的な人間がヤリトリする「小集団レベル」が消滅している。今日、「小集団レベル」が生かされる広場が求められている。「移動大学」のように、ハードウェア・ソフトウェア・研修が三位一体的に活用されたとき、広場は立派に広場の用をなす。

こうして、仕組みさえきちんとつくれば、ひとつの「小集団」が一体になって問題を解決し、創造性を生みだすことは可能であるとかんがえているわけです。「小集団」がつくりだず場が「ひろば」です。

ここでは、その「ひろば」自体が、ひとつの場として、まるでひとつの生命であるかのように活動し、創造性を発揮し、創造をしていくのです。これは、創造という目的のために、創造のためのひろばをまずはつくってみようということではありません。その場それ自体に創造性が生じるのです。

本書の書名が「創造のひろば」ではなく、「ひろばの創造」となっている点に注目しなければなりません。


文献:川喜田二郎著『ひろばの創造 -移動大学の実験-』(中公新書)中央公論社、1977年5月25日
 

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国立科学博物館の企画展「ダーウィンフィンチ -ガラパゴス諸島で進化を続ける鳥-」をみました。

ダーウィンフィンチは、南米沖のガラパゴス諸島とその北方ココ島にのみに生息する小型の鳥類であり、そのクチバシのちがいが進化をしめす具体例として知られています。本展では、アメリカ自然史博物館からかりうけたダーウィンフィンチの貴重な研究用剥製を展示してそれを解説しています。チャールズ=ダーウィンはこの鳥から進化論の着想を得たといわれています。

ダーウィンフィンチ類は、ホオジロ類の仲間であるフウキンチョウ科の鳥が200〜300万年前にガラパゴス諸島にたどりつき、昆虫食・花蜜食・種子食・雑食の食性に適応して、クチバシの形状が大きく異なる15種もの多様な種に分化しました。

国立科学博物館の解説によりますと、15種のダーウィンフィンチは以下の7つのグループ(亜種)にわかれます。

1)サボテンフィンチ類:長いクチバシ
 サボテンの実や葉・花・花蜜をたべます。

2)種子食地上フィンチ類:がっしりとしたクチバシ
 花・花蜜や地面に落ちた種子をひろってたべます。

3)昆虫食樹上フィンチ類:太いクチバシ
 主に昆虫をたべます。

4)キツツキフィンチ類:頑丈でまっすぐなキツツキ型のクチバシ
 樹木に穴をあけカミキリムシの幼虫や樹皮の下にかくれた昆虫などをたべます。

5)ココスフィンチ:細長いクチバシ
 雑食で、フルーツや花蜜・昆虫・草の種子などをたべます。

6)植物食樹上フィンチ:オウムをおもわせるクチバシ
 葉や芽や木の実などをたべます。

7)ムシクイフィンチ:もっとも細いクチバシ
 木の葉などについた昆虫などをつまみとってたべます。

以上のようにダーウィンフィンチは、餌という環境条件に適応するために、特徴的なクチバシの形を進化させました。この例は、ただ一つの祖先種から多様な形質の子孫が短期間に出現するという適応放散の代表例です。

このような現場のデータにもとづく具体例をまなぶことは物事の理解を促進させます。具体例を知れば知るほど物事の理解はふかまります。具体例は、一般論では気がつくことができない盲点をおしえてくれこともあります。具体例を知ることにより安易な一般論から脱出することもできます。具体例をファイルしてたくさん蓄積するることにより理解がふかまるだけでなく選択肢も増えてきます。

企画展や展覧会などでの体験をうまく活用して、具体例の体験的なファイルを増やしていくことが重要です。


参考文献
日本ガラパゴスの会著『ガラパゴスのふしぎ』ソフトバンク クリエイティブ、2010年3月25日
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本書は、ダーウィン・進化論・生態系・不思議な生き物・環境保全などについて多数の写真とともに解説していて、ガラパゴスの入門書・ガイドブックとして有用です。21ページおよび124〜128ページに、ダーウィンフィンチのクチバシについて解説されています。ただし、本書におけるダーウィンフィンチの分類は、国立科学博物館の分類とは若干ことなっています。


ジョナサン・ワイナー著『フィンチの嘴 ガラパゴスで起きている種の変貌』(ハナカワ・ノンフィクション文庫)早川書房、2001年11月30日
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ダーウィンフィンチのクチバシについてさらにくわしく知りたい方はこちらをお読みください。エルニーニョや大干ばつなどによって変化する種子の大きさに合わせて、フィンチのクチバシの大きさも変化することなどが記述されています。

 

創造性の本質について論じた本です。著者は、創造について、保守との対比、問題解決(ひと仕事)、伝統体(小集団や組織)、実践、世界内的な姿勢、文明の原理などの観点から総合的に解説しています。(本書は、川喜田二郎著『創造と伝統』(1993年)のなかから「I 創造性のサイエンス」を新書化したものです)。



1)創造と保守とが循環する
創造は保守と対比できる概念です。保守とは現状を維持するということですが、それに対して創造とは現状を打破し、新しい状態に変えていくことです。

これら両者は相互補完的に循環する関係にあります。創造はかならずどこかで保守に結びつき循環するものであり、保守に循環しなければ創造とはいえません。また、現状打破とは破壊のことではありません。現状打破は循環に結びつきますが、破壊には循環がありません。保守とも創造とも結びつかない方向に向かったのが破壊です。

循環には半径があり、大きな創造は大きな半径をもち、長い時間をかけて保守にむすびつき、社会の大きな循環を生みだします。

2)創造性とは問題解決能力のことである
創造性とは、ひと仕事をやってのける能力のことです。いいかえれば問題解決の能力のことです。ここでは総合という能力が要求されます。たとえば、現代の大問題である環境問題とか世界平和にとりくむためには総合的な問題解決能力が必須です。つまり創造性が必要です。

3)実践により矛盾を解消する
創造的行為の三カ条は、「自発性」「モデルのなさ」「切実性」です。これらはたがいに矛盾するようですが、実践によってこれらの矛盾対立は解消されます。実践のない抽象論では解消できず、実践を離れての創造はありえません。実践的行為のなかで矛盾を解消するのが創造です。

4)世界内的に生きる
自分を世界の外において、外から世界をみて論評しているだけで何も行動しないというのではなく、世界の渾沌の中に自分おいて、問題解決の行為を実践するのが創造です。

5)創造性は個人をこえる
創造的行為にあたっては個人と組織との間には壁はありません。創造性は個人をこえます。個人が創造性を発揮するだけでなく、集団が集団として創造性を発揮した例は数多くあります。創造的なグループは存在するのです。

そのようなグループは創造的な伝統を形成することができ、そのような伝統のあるグループは「伝統体」とよぶことができます。

6)渾沌→矛盾葛藤→本然
わたしたちは経験したことのない難問にぶつかることがあります。そのとき最初に来るのは渾沌です。

そして矛盾葛藤が生じます。

しかし、その矛盾葛藤を克服し、問題を解決しなければなりません。その過程が創造です。問題を解決した状態を「本然」(ほんねん)といいます。渾沌から、矛盾葛藤を克服し、本然にいたるのが創造です。


以上のように、渾沌を出発点として、総合的な問題解決の実践により矛盾葛藤を克服して、本然(ほんねん)にいたることが創造であるわけです。そして創造は保守とむすびついて社会に循環をもたらします。

わたしたちは、断片的な作業ではなく、ひと仕事をやってのけなければなりません。また、研究室や書斎・オフィスにいるだけでは創造はできず、フィールドワークやアクションリサーチの具体的な実践が必要になってきます。

さらに注目すべきは、著者は、デカルトの物心二元論のアトミズムを否定しています。デカルトにはじまる機械文明・物質文明のゆきづまりを明確に指摘、創造の原理によるあららしい「没我の文明」を提唱しているのです。 本書は、デカルト路線を体系的に否定した最初の本です。

本書の初版、川喜田二郎著『創造と伝統』(祥伝社、1993年)が出版されたとき、哲学者の梅原猛さんは書評のなかでつぎのように記述しています。
「川喜田さんに先を越された感じがする」

その後、梅原さんもデカルト路線を明確に否定したあらたな文明論を展開することになります。

3・11をへて、川喜田・梅原らが提唱するように、文明の原理を根本的に転換する必要があると感じる日本人は増えてきているのではないでしょうか。


▼ 文献
川喜田二郎著『創造性とは何か』(祥伝社新書)祥伝社、2010年9月

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最新バージョンである HTML5 とスタイルシート(CSS3)をつかって、最新のウェブサイト制作手法をマスターするための入門書です。

HTMLとスタイルシートを習得すれば、ウェブサイト制作に特別なソフトは必要ありません。Mac や Windows に付属のソフトですぐにつくりはじめることができます。

これからウェブサイトを制作される方は、最新バージョン(HTML5)でつくのがよいです。

しかし、最新バージョンをつかった良書は現時点では非常にすくなく、最新のHTML5 を銘打っている書籍であっても、文書型宣言が <!DOCTYPE html> になっているだけで、HTML5タグをつかっておらず、<div>要素をつかうなどして、ふるいバージョン(従来のつくりかた)で解説している本がほとんどです。

その点、本書は、最新バージョンをつかっていて、しかも、初心者にもわかるようにわかりやすく解説されているので、わたしも安心して学習をすすめることができました。

本書の例題と解説をよんで、ステップ・バイ・ステップでウェブサイトを実際につくっていけば、最新のノウハウを身につけることができます。応用テクニックやその仕組み、さらに踏み込んだ各種の情報や秘訣も理解することができます。

HTML5 と CSS3 をつかってウェブサイトをつくってみようという方に、現時点でもっともおすすめできる入門書です。

文献:エビスコム著『HTML5 & CSS3 レッスンブック』ソシム、2013年5月24日
 

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発想法とは、アイデアを生みだしていく方法のことです。本ブログでは、旅行やフィールドワークを通して、さまざまに発想していく方法、あるいはそのためのヒントをとりあつかっています。野外科学とKJ法を基礎にしていて、現場でえられた情報を処理し、アイデアを発想し、問題を解決することをめざしています。

情報処理とは、〔インプット→プロセシング→アウトプット〕の3場面からなります。本ブログでは、人を、情報処理をする存在としてとらえ、人がおこなう情報処理をとりあげています。情報処理により、よくできたアウトプットをだすことをめざしています。


問題解決
とは、情報処理を累積しながら、課題にとりくみ問題を解決していくことです。本ブログでとりあげている方法はつぎの7つのステップからなります。

  1. 課題設定
  2. 情報収集
  3. 状況判断
  4. 現地調査
  5. 目標設定
  6. 計画実施
  7. 検証評価
上記の問題解決の7ステップの各ステップの内部において、情報処理をくりかえします。この過程でアイデアが発想できれば、問題解決は大きく前進します。

本ブログであつかっている発想法は、情報処理と問題解決の方法の全体を包括していますが、一方で、情報処理と問題解決をむすびつける役割も果たしています。 

 
「野外科学」とは現場の科学のことであり、現場でいかに情報収集をして、どのようにそれらをまとめて発想していくかを論じています。
第I章では、「野外科学」の概念について解説しています。

「野外科学」の姿勢・方法は未解決の課題を追求する探検であり、未開拓の空白領域をうめていく行為です。それはあたかも、どんな魚が釣れるかしらずに出かけてゆく魚釣りのようなものです。既存の仮説を検証すればよいというのではなく、あらたに仮説を発想したり、アイデアをうみだすことをめざします。

第 II 章では、野外調査法と記録の仕方についてのべています。具体的にはつぎのようにします。

(1)観察とインターヴューによって現場で情報収集(取材)をし、その結果を、現場ノート(フィールドノート)に記録します。現場でとったノートや日記は非常に重要です。真の権威は現場のデータにあります。

(2)データのまとめのために「データカード」をつかいます。情報のひとかたまりごとに、1枚ずつのカードにしていきます。「データカード」の実例(77ページ)は参考になります。

(3)調査結果の組み立て、文章化とアイデアや仮説の発想のために、「データカード」を1枚ずつ見ながら、要点を「紙切れ」に書きだします。それらの「紙切れ」を平面的にひろげ、もっともすわりのよい位置に空間配置をします。この空間配置を見ながら文章化をすすめます。このとき、「データカード」をもういちど見直しながらその内容をおりこんでいきます。あらたにおもいついたアイデアや仮説も書きとめます。

第Ⅲ章と第Ⅳ章は、野外科学の実践事例としてネパール探検とチベット探検のことが具体的に記載されています。

本書はふるい本ですが、原理的には今でも大変有用であり、本書でのべられている方法を現代の情報技術をつかっておこなえばよいのです。

上記(1)では、紙のノートをつかってもよいですが、タブレットやパソコンが現代では有用でしょう。

上記(2)のためのはブログが有用です。情報のひとかたまり(1ユニット)ごとに記事を書き、その記事を要約した見出しを各記事の上部につけていきます。ブログ1件が1枚の「データカード」に相当します。

ここでは、複数の内容を1つの記事におしこまないことが重要です。内容が2つある場合は、記事も2つに分けます。1記事1項目主義です。このようにすると、記事の要点を適切にフレーズにして見出しをつけることができます。

上記(3)では、各ブログの見出しをポストイットやラベルに書きだし、これを空間配置し、それを見ながらワープロをつかって文章化します。そのとき、ブログの記事(本文)を参照しながら、その記事をおりこんでいきます。

ポストイットやラベルを空間配置をするときに、既存の分類項目にとらわれないようにすると、あたらしいアイデアや仮説がうまれやすいです。既存の分類項目にとらわれない空間配置からの方が発想がでてきます。

なお、空間配置や図解化のために役立つソフトとしては OmniGraffle があり、これをつかえばポストイットやラベルはいりません。

このような行為をくりかえすことにより、ひとつの課題(問題解決)に首尾一貫してとりくむことができるようになります。

文献:川喜田二郎著『野外科学の方法』(中公新書)中央公論社、1973年8月25日

ソフト:OmniGraffle
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立体視をしながら目をよくするための本です。立体視のやり方と立体視の効果の説明とともに、動物の3D写真が数多く掲載されています。

立体視のやり方は、36〜49ページにでています。まずは、ここを見て立体視の練習をはじめるとよいでしょう。

本書の要点はつぎのとおりです。
「眼力は「眼球(目)」と「脳」の2段階で成立しています。立体視訓練は、2対の画像を融合して一気にみる訓練であり、第1段階は眼球の訓練、第2段階は脳の訓練になっています。

立体視で生じる内面空間は「仮想現実の空間」(バーチャル・リアリティの空間)であり、これは、平面に表示された図や写真から、大脳の働きによってより高次の空間が仮想的に構築されることで生ずるものです。

立体視は、それができれば終わりというのではなく、それをスタート地点としてさまざまなヒーリング効果や能力開発効果を得ることを目標にしています。


66ページからは、たくさんの動物の3D写真が掲載されています。シンガポール動物園にはわたしも行ったことがあり、そのときの体験をたのしくおもいだしました。

立体視はすぐにできなくても、毎日練習しているうちに次第にできるようになります。立体視が一瞬できたとおもったら、しばらくの間それを保持するように努力してみてください。ずーっと見つめているとよりよく見えてきます。

また、動物をみながら、同時に、その周辺の様子も周辺視野をつかって立体的に見ることができるように努力していきます。

本書の3D写真を毎日すこしずつ見て、まずは、立体視になれるところからはじめるのがよいでしょう。

文献:栗田昌裕著『3D写真で目がどんどん良くなる本【動物編】』(王様文庫)三笠書房、2002年4月20日
 

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近年急速に発達してきた「クラウド」に関する解説書です。

今後のITの進歩を予測するうえで、もっとも注目しなければならないのは「クラウド」であるといってよいでしょう。「クラウド」は、私たちのワークスタイルを着実にかえていきます。

本書の要点を以下にまとめておきます。
「クラウド」(雲)とはインターネットのこと指し、「クラウドコンピューティング」とは、グーグルやアマゾンがおこなっているサービスのことです。この用語は、グーグルCEOであるエリック・シュミットが2006年に講演した際に初めて使ったと言われています。

「クラウドコンピューティング」は、自分のコンピューターでデータを処理するこれまでの仕組みとはちがい、インターネットでつながれた外部のコンピューターに膨大なデータ処理をおこなわせるシステムです。グーグルやアマゾンなどは、個人のパソコンのかわりにデータ処理をおこない、その結果をインターネット経由でユーザーに提供してくれます。

クラウドが発達してくると高機能パソコンは必要なくなり、どんなデバイスを使うかは問題ではなくなります。いずれ、クラウドに特化したクラウドデバイスが登場するでしょう。

クラウドを活用したワークスタイルやビジネスとして、「ライフログ」と「クラウドソーシング」がトレンドです。

「ライフログ」は、私たちの日常生活における行動の記録(Web閲覧履歴、ブログ、写真投稿、改札の通過記録、携帯の位置情報など)です。これらの情報を処理して、個々人にメリットのあるサービスを提供することができます。

「クラウドソーシング」とは、ネットワークを通じてさまざまな人々とコラボレーションしながらひとつの物事をつくりあげていくことです。

これからは、データや知識を個人が独り占めするのではなく、クラウド上でデータと知識を共有し、それらを相互に活用して知的アウトプットをする時代になります。ここでは、どんな知識を持っているのかではなく、知識を活用して、どんな行動をとるのかが重要になります

以上のように、「クラウド」は私たちの世界を着実にかえつつあります。今日、地球規模の巨大な情報の「雲」が形成され、大きくうごきはじめたといってもいいでしょう。

これまでは、「情報量がおおすぎて、情報があふれかえっている」と多くの人々が形容していました。しかし、情報があふれかえってこまったというのではなく、巨大な情報の「雲」が形成され、それが運動をはじめたのです。これは、大げさにいえば人類と地球の進化です。

このような「クラウド時代」にあっては、「どんな行動をとるのか」が重要だと著者はのべています。

つまり、クラウドのもとで自分は何をしたいのか、自分自身の主体性がもとめられるのです。クラウドが何かをしてくれるということではありません。そのためには、クラウドを活用しながら、情報処理能力や問題解決能力を個々人が身につけなければならないでしょう。速読法・記憶法・速書法・発想法などの能力を身につけることが重要だとかんがえる理由がここにもあるのです。


八子知礼著『図解 クラウド早わかり』(kindle版)、KADOKAWA、2013年12月17日デジタル版初版発行
 

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関連ブログ:iCloudのシステムを主体的につかいこなす

記憶力を超速で高める「栗田式記憶法」が解説されています。 わたしはこの記憶法に長年たのしくとりくんでいます。

著者ものべているように、何よりもまず、自分の一番すきな分野の体系をたのしく記憶するところからはじめるのがよいです。そして、その分野の体系を参考にして別の分野も順次記憶していくのです。たのしいことはおぼえやすく、きらいなことはわすれやすいという、きわめて単純な原理があるのですから。

記憶法の基礎となる方法は「空間法」です。「空間法」を基礎として、「建築法」「絵画法」「線形法」「結合法」「想起法」などにまずはとりくんでみるのがよいでしょう。

とても役にたつ方法ですので、以下に、重要なポイントをピックアップしてまとめてみます。

空間法」(Space method/151ページ)は、心にリアルな三次元空間を描き出す練習をすることによって、記憶を鮮明に格納できる空間をつくりあげる方法です。たとえば、好きな場所へいってそこで知識を覚えていきます。人物を覚える場合は、その人と最初に出会った場所をその人とともに一緒に覚えます。「3点注視法」(108ページ)もあります。
 
時と場所に結びつけて覚えるのは記憶法の基礎であり、最初に明確な時空記憶を作ることが重要です。そのためには視覚(目で見ること)を重視します

建築法」(Building method/97ページ)は、建物の場を活用して、そこに覚えるべき情報を結合して記憶する方法です。

絵画法」(Picture method/147ページ)は、絵(写真)の中に情報を埋め込む記憶のテクニックです。写真の中にドメインを見いだし、ドメインごとに記憶すべき情報を結合します。

線形法」(Linear method/140ページ)は、無作為に与えられた情報群を連携して、直列的・連続的に記憶する方法です。

結合法」(Unifying Method/177ページ)は、2つの情報を新しい仕方で結合する方法です。すでに持っている具体的な体験や知識に「関わらせる」作業を「結合」と呼びます。

想起法」(Recall method/165ページ)は、過去の知識を想起するテクニックです。何かを覚えたら、その場ですぐに思い出す癖をつけるのがよいです。

以上の中で、「建築法」は「空間法」の実践例のひとつともとらえられます。「絵画法」も「空間法」と密接な関係にあります。「線形法」は直列的に記憶するので、「空間法」とは相互補完の関係にあるでしょう。「結合法」と「想起法」は記憶のすべてにかかわってきます。

これらの方法をつかって、すきな分野の概略をまずは記憶してしまうのがよいでしょう。その分野の概略をつかんで、その分野が一望のもとに見えるようになれば、その構造の中に位置づけて細かい部分も記憶しやすくなり、全体と部分とが補強しあって記憶は統合され、知識が定着していくとおもいます。

文献:栗田昌裕著『絶対忘れない!記憶力 超速アップ術』日本文芸社、2010年5月30日
 

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関連ブログ:みごとに体系化された記憶法 〜レビュー:栗田昌裕著『栗田博士のSRS記憶法』〜

問題解決(ひと仕事)の最終ステップは「検証・評価」です。

大きなひと仕事をやりおえたあと、しばらくすると、その後どうなったのか気になるものです。そこで「検証・評価」が必要になります。仕事の目標は達成されたのかなど、さまざまな観点から検証と評価をおこないます。時間があれば、その現場にもう一度いってしらべてみるのがよいです。

先日、わたしは、ネパール・ヒマラヤでおこなった植林事業(5ヵ年計画)の検証・評価をおこないました。

現場を再訪してみたところ、今後の仕事に役立つあらたな発見がありました。「検証・評価」によりひと仕事は完結し、完結すると次の仕事の展望がひらけてきます。
 
関連ブログ:
水力発電所の建設が村を変える -検証・トルチア村- 

「一番多くのアサギマダラに出会った人」による、海をわたる謎の蝶アサギマダラの研究書です。アサギマダラは、春と秋に、1000kmから2000kmもの旅をするそうです。

著者は、アサギマダラの羽に標識を書いて飛ばし、遠隔地で再捕獲する「マーキング」とよばれる方法で地道にしらべていきます。最遠例としては、「福島県から台湾までの約2200kmの距離を移動して生き延びている」ことを確認しました。

小さな蝶が台湾までしかも比較的短期間で移動するということは常識ではかんがえられず、大変なおどろきであり興味がつきません。

本書をよんでわたしは2つの点で感動しました。

ひとつは、マーキングとよばれる方法で10年間にわたり地道にデータを蓄積し、アサギマダラの移動の全容をあきらかにしたことです。著者は、「その旅は偶然に動く『物』の移動とは異なり、心を持った雲が動き、日本列島を群雲のように動くのです」とのべ、アサギマダラを「心をもった生命体」としてとらえています。

アサギマダラは「より広い範囲をとらえて『大局判断』をしながら移動している」と推測し、「大域をつかさどる仕組みがあるはずだ」と説明しています。

もうひとつは、著者は、分析ではなく確率をつかって移動の謎の解明にアプローチしていますが、その先にある「確率を超えようとする性質」について言及していることです。

「分析的な研究では事実の断片しかわからず、蝶の移動すら予測できない」ので、「より包括的、総合的なアプローチとして、アサギマダラを小集団や大集団とみなして確率的に把握する方向で考えている」のだそうです。

分析的方法(あるいは実験的方法)は科学者がごく普通にもちいている方法であり、また確率は、数学者・統計学者などもとりくんでいて、分析と確率までは既存の学問の範囲で理解できるとおもいます。

しかし最後に、「確率を越えようとする性質」について言及し、確率のさらに先の世界があることを示唆しているのです。そして、「心をもった生命体」としてアサギマダラをとらえた著者は「心の世界にも法則があるのではないか」とのべています。

本書は、謎を探究することのおもしろさをおしえてくれるとともに、生命の本質について重大な問いかけををわたしたちにしていると感じました。


文献:栗田昌裕著『謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?』PHPエディターズ・グループ、2013年9月20日発行
 

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本書は、新聞(紙面)を読むことにより、次の7つの力をみがくことができると解説しています。

・書く力
・伝える力
・見せる力
・数字力
・ニュース力
・想像力
・コミュニケーション力
新聞の朝刊1部には、新書版の書籍2冊分の膨大な情報が詰まっていて、その紙面には、いろいろな工夫がなされています。たとえば、
・決められた紙面の中で、簡潔に分かりやすく伝える工夫
・忙しい人たちのために、見出しでパッと全体像をつかむ工夫
・文字だけでなく写真でも、記事内容を説明する工夫
これらのポイントを知るだけで、新聞は読みやすくなり、さまざまなスキルを磨く手助けになる

と著者はのべています。

新聞(紙面)を読む人は近年すくなくなってきているようですが、新聞は、情報処理あるいは速読の訓練のためにとても有用です。

新聞(紙面)がすぐれていることのひとつは一覧性です。大きな紙面、大きな空間に多種多様な情報が配置されています。ここではレイアウトも重要です。

その空間の中で情報をよみとり、そのレイアウト(構造)のなかで情報を記憶することができます。これは、空間を利用した情報処理の訓練になっているのです。しかも、書籍よりも紙面が圧倒的に大きいため、おおきな空間の中で情報処理にとりくむことができ効率がいいです。

情報は、ただ単に取得すればよいというものではなく、インプットの仕方を工夫しなければなりません。大きな空間をつかってまるごと一気にインプットすることはとても大切なことです。したがって、新聞は、読むのではなく、まず、「見る」ことが重要です

よくできたアウトプットをだすために、 空間的な情報処理訓練の教材・テキストとして新聞を活用していきたいものです。


文献:池上彰著『池上彰の新聞活用術』ダイヤモンド、2010年9月30日(電子版2012年7月1日)
 
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仮説を形成することは発想法のなかでもとくに本質的な行為です。

哲学者の梅原猛さんは、縄文人がつくった土偶について大胆な仮説をうちだしています(注)。仮説をいかに形成するかという点で参考になります。


縄文時代の土偶は縄文文化のかがやかしき遺物ですが、それが何を意味するのかは謎でした。梅原さんは、まず、すべての土偶に共通する事実を枚挙し、つぎのようにまとめました。


1「土偶は女性である」
2「土偶は子供を孕んだ像である」
3「土偶は腹に線がある」
4「土偶には埋葬されたものがある」
5「土偶はこわされている」


そして、これらにもとづいて次のような考察をしました。


1と2から、土偶は、子供の出産にかかわっているものであると考えられる。

3から、 妊娠した女性が死んだとき、腹を切って胎児をとりだしたのではないだろうか。

4から、死者の再生をねがって埋葬したのではないだろうか。

5から、あの世はこの世とあべこべの世界であるという思想にもとづいて、この世でこわれたものはあの世では完全になるのであるから、こわれた土偶はあの世へおくりとどけるものとしてつくられたのではないだろうか。 土偶は死者を表現した像であり、死者の再生の願いをあらわしていると考えられる。土偶の閉じた目は再生の原理を語っている。


以上から、「妊娠した女性が死んだとき、腹を切って胎児をとりだし、その女性を胎児とともに土偶をつけて葬ったのではないか」となり、そして最後に、土偶は、「子をはらんだまま死んだ妊婦と腹の子をあわれんでの、また、再生をねがっての宗教的儀式でつかわれた」という仮説を形成しました。

このように、土偶の謎をときあかすためには、すべての土偶に共通する事実を枚挙し、それらの事実すべてを合理的に説明しうる仮説をかんがえればよいわけです。

梅原さんは、仮説形成の仕事をつねにしています。仮説形成の観点から梅原さんの著作に注目していきます。


▼ 注
梅原猛監修『縄文の神秘』(人間の美術1)学習研究社、1989年11月3日(初出)
梅原猛著『縄文の神秘』(学研M文庫)学研パブリッシング、2013年7月9日
 
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「ブレーンストーミング」という、問題解決のための発想やアイデアをだす方法があります。これは、アメリカのオズボーン氏がはじめたもので、 通常は会議でつかわれますが、ひとりでもできます。ひとりでおこなう場合は「ひとりブレーンストーミング」といいます。

川喜田二郎著『続・発想法』(注)の 34〜35ページ にはブレーンストーミングについて解説されています。ここにまとめておきます。

ブレーンストーミングには以下の4原則があります。
1「批判を禁ずる」
2「量をもとめる」
3「自由奔放」
4「結合」

1「批判を禁ずる」は、そんなアイデアはダメだとおもって、他人の意見を批判したり否定してはいけないということです。

2「量をもとめる」は、ひとつひとつの意見の質の高さよりも、多種多様に数多いアイデアをだすということです。質よりも量を追求するということであり、そのためにはいろいろな角度からアイデアをだすのがよいです。

3「自由奔放」は、こういうことをいったら、他人にわらわれやしまいかなどという、いじけたひかえめな気持ちではなく、奇想天外にみえることでもだしてみることです。どのように後でまとめようかなどともかんがえない方がよいです。

4「結合」は、他人の意見をきいて、それに刺激され、あるいは連想をはたらかせ、あるいは他人の意見に自分のアイデアをくわえて、あたらしい意見としてのべます。

ひとりでおこなう場合でも4原則にしたがって、他人の意見を心の中で批判したりせず、また、過去の出来事ややりとりをおもいだしながらアイデアをだしていきます。

このブレーンストーミングはふるくからある方法ですが、現代の情報化の観点からこれをとらえなおしてみると、今日でも有用であり大いに活用すべき方法です。

そもそも情報処理は、「インプット→プロセシング→アウトプット」という3つの場面からなりたっていて、通常は、あたらしい何らかの情報を自分の心の中にインプットするところからはじめます。

ブレーンストーミングでは、過去に得られた情報、すでに心の中にインプットされている情報、過去のできごとをつかって情報処理をすすめようという仕組みであり、あらたなインプットがない分、手っとり早い方法であり、いつでもどこでもひとりでもできる方法です。

川喜田は、ブレーンストーミングを「内部探検」に発展させて論じています。つまり、自分や自分たちの心の中を探検するのです。自分の心の奥底にはどのような情報がありどのようになっているのか、自分のことは意外にもよくわかりません。この「内部探検」つまり「心の探検」はとても奥深い行為であり、これからの時代、誰もがとりくまなければならない課題です。


注:川喜田二郎著『続・発想法』(中公新書)、中央公論新社、1970年2月25日
 
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